40代が陥りがちな離婚の甘い誘惑

「全く違う人生があるのではないか」と夢想してしまう「離婚」の誘惑。

以前のブログ「男40代に忍び寄る魔の時対処法」*https://40life.lucido.jp/article-29/で、新たに何かを始めるのにあたって40代は最後のチャンスですよ、というような事を書きました。そのせいなのか最近、「これが人生やり直す最後のチャンス?」とばかりに、離婚を考えている40代男性達から相談が舞い込むようになってしまいました。

 

お願いだからよーく読んで!私が提案してるのは、MBAとか、新規事業とか前向きな提案で、そんな後ろ向きなチャレンジ推奨していないから!と叫ぶも、「ブログ読んで、本当にそうだなぁと思って。」などと暗い顔で言われれば、罪悪感の一つも覚えてしまい昨夜も離婚相談で酒を飲む羽目になるのでした。

 

理由はそれぞれにあれど、話を聞いていると今の夫達はなかなかに大変です。
私たちの父親世代は、経済的に妻子を養っているという状態をキープしていれば、まぁ良かったものです。現代のように、妻への愛情表現や家事育児の主体的参加など要求されず、給料を運んでくるだけで頼りにされ、尊敬されていたのですから。
モデルケース不在の中、「良い夫、良い父親」というものにトライしてみるも、あてが外れて叱責されたりする現代に生きる夫達。「こんな愛情の無い夫婦関係、リセットしたい!」という思い、聴いている限り解らなくもないです。

 

ただ、夫婦だって「人間関係」なんですよね。
今、夫を完全に無視している妻や顔を合わせば文句を言ってくる妻だって、過去の夫の言動や行動に傷ついて夜叉となっている可能性が高いわけです。人間関係のこんがらがった紐を一本一本解いて行けば、誤解で仲たがいしていたという事だって大いにあり得えます。ここで夫が怒りにまかせて「離婚」をちらつかせたりすると、ただでさえ怒っている妻もならって暴走しやすい。特に子供がいる夫婦に関しては、ここで一つ、夫が冷静になって、できるなら踏みとどまって欲しいなと私は相談を受けるたびにそう思っています。
何故なら、夫の方に関係改善のスキル保持者が多く、夫の人生にこそ、離婚がもたらす悪影響が大きいからなのです。

 

感情的に憎み合って別れた夫婦は、話し合いや法的な手続きもよくしないで、婚姻関係が合った頃以上に「顔を見るのも嫌だ」という状態に突入致します。結果、子供との面会も、元夫婦のやり取りが発生するためにおろそかになり、元夫の方も、あんなに可愛かった我が子なのに、だんだん「妻と子がセット」に見えてくる。
生活を共にせず、心が離れていくと父親の責務が希薄になるのか、はたまた経済的理由か、それとも新しい彼女との新しい未来の為か、養育費の支払いを減額したり、払わなくなるのが次なる鉄板ストーリー。現在養育費を払っている元夫達の数は全体の2割。私たちの隣にいる子持ち離婚男性の8割は、別れた妻と暮らしている実子に養育費を払っていないのですから、離婚を視野に入れてる男性の、そう逸脱してはいない未来予想図と言えるでしょう。

 

そして、元妻が裕福、もしくは再婚して幸せになっていない限り、養育費がストップすれば妻子の生活は困窮します。シングルマザーの貧困(シングルマザーの平均年収は213万円、年収125万円以下の世帯が48.2%)は社会問題になっていますが、一番の犠牲者は子供達です。子供たちは昼夜働く自分の母親を見て、自分の恵まれない境遇は何が原因かを、例え母親が父親への呪詛を吐きださなかったとしても簡単に当たりを付けます。子供達はやり場のない怒りを、一生をかけ、父親を恨むことで解消するでしょう。

 

かけがえの無い我が子に恨まれる未来―。そんな切ない人生があるでしょうか。
だから、「離婚の手前段階」とは、地獄の窯が今、その家族の目の前でぱかっと口を開けている状態であると言えます。

 

また、離婚後に孤独をこじらせるのは、現行法で親権が取りづらい男性の方が圧倒的に多く、それに養育義務から逃げたという実績が加われば、老年にまでちりちりと、後悔と言う名の業火に付きまとわれ続けるのではないでしょうか。
「離婚はあまりにも簡単にできるけど、人生はそう簡単じゃない。」という当たり前な事が解るのは、私自身子持ち離婚してしばらくたってからの事で、後悔とはどうしてこう、先に立ってはくれないものなんでしょうね。

問題解決能力が未来を創る。

「今、目の前にある不快な状態をリセットしたら、人生が一変して晴れやかになる筈。」という欲望に私達はなかなか抗えないものです。それは一番簡単で、自分が傷つかず、幸せへの早道のように見えるから。
ところが、簡単にリセットしたツケはたくさんの痛みとして後にボディーブローのように効いてきます。それは、以前女性向けに「離婚したら幸せになれると思っ ているあなたへ」*http://ninoya.co.jp/ninoya_log/alcohol_lovers/896に書きまくったので割愛します が、一番の痛みは、問題解決の為に努力しなかったヘタレな自分を自分自身が一番覚えていて、いつまでもいつまでも忘れない事なのです。

 

40代にもなると、男性の多くはマネージメントも経験していて、仕事上多くの問題解決に当たってきたはず。クライアントの信用を取り戻したことも、上司や部下の信頼を回復させたことも、一度や二度じゃないでしょう。
「仕事ではできるが、プライベートではできない。」と、皆さんそうおっしゃいます。私もかつてそのように言い張っていた訳ですが、後に己を振り返った時には完全無欠に「ただの言い訳」でした。

 

自分のスキルを総動員して、言い訳せず、拗ねず、無駄なプライドを捨て、夫婦の関係改善の為にやれることを全てやってみること。それが、家族全員の幸せな未来を作り、自分の事を未来に渡り見限らないで済む唯一の方法だと私は思っています。

 

昔は、動物や敵の部族から力づくで妻子を守っていたであろう夫達。
現代では、妻との関係修復の為にひと肌もふた肌も脱げるのが、家族を守れる夫ではないでしょうか?

 

そして、昔も今も「夫の勇気」はいつも試されています。
世間や家族だけじゃなく、誰よりも自分自身に。

川崎貴子

川崎貴子

リントス株式会社代表取締役

リントス株式会社代表取締役。1997年に女性に特化した人材コンサルティング会社ジョヤンテを設立後、1万人を超える女性をフォローしてきた。「女性マネージメントのプロ」との異名を取る。メディア取材執筆多数。婚活結社「魔女のサバト」、共働き推奨 婚活サイト「キャリ婚」(https://carricon.jp 男性完全無料)主宰。 著書に『我がおっぱいに未練なし』(https://www.amazon.co.jp/dp/4479783997 大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(http://www.amazon.co.jp/dp/4584136335 ベストセラーズ)、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(https://www.amazon.co.jp/dp/4062729458 講談社) 、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(https://www.amazon.co.jp/dp/4862804829 総合法令出版)、『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(http://www.amazon.co.jp/dp/447979493X 大和書房)、『上司の頭はまる見え。』(http://www.amazon.co.jp/dp/476319707X サンマーク出版)がある。ブログ「酒と泪と女と女」など連載も多数。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザー。