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日本人はもうセックスしなくなるかもしれない

2016/05/31

川崎貴子

リントス株式会社代表取締役

川崎貴子

女性マネージメントのプロ

子供を作る以外にセックスの意味などあるのだろうか?

40代ともなると、ついつい若者たちを憂いてしまいがちですよね。特に、昨今の若者の草食化や恋愛離れに関しては、「俺たちの若いころは~」なんていう禁断の親父フレーズで、誰にも頼まれていないのに大岡裁きをしてしまったりします。はい。44歳の私も御多分に漏れず。

 

が、本当に問題なのは若者たちの方なのでしょうか?
以前私はこのようなブログ「何故日本人夫婦はセックスレスになるのか?」を書いたのですが、現在40代のセックスレスは50%と言われています。(ちなみに、セックスレスとはセックスできるパートナーがいるのに1か月以上していない事です。)この数字は多いのか少ないのか。世界と比べたら多分猛烈に少ない筈です。そして、40代にもなると肉体的にも精神的にも「したい人はして、したくない人はしない。」なのかも、とライトに思ってしまいがちですが、話はそう簡単ではありません。この中には、「セックスレス上等!」と夫婦やカップルで健やかにレスを受け入れている人達だけじゃなく、「自分はしたいのに、パートナーが応じてくれないからレス」という怒りのマグマや悲しみを抱えた夫や妻が相当数存在している筈だからです。以前ブログを書いたとき、「すっかりレスになってしまったので、夫婦関係を解消したい。」「応じてくれないパートナーに対して、今は悲しみを通り越し殺意を抱いています。」などと多くの物騒なコメントを頂戴しました。

 

セックスという究極にプライベートな事だからこそ、私たちはいつまでするのがいいのか?何が正解かがわからない。そして、相手が必要な行為だからこそ取り扱いが難しい。

 

私自身、もう子作りはしないので生殖としてのセックスは上がりです。それどころか、これから閉経に向かってホルモンによるリビドーもダダ下がる予定です。「セックスなんて自然に任せれば良い。」的な思考が脳裏をかすめますが、果たして自然にしていたら私はちゃんと致すのか否かが大変に怪しい。なぜなら、長年生きてきて、私は結構「“めんどうくさい”に抗えない体質」であるという自覚があるからです。

 

昔、作家の酒井順子さんが、「着物文化が廃れたのは、着付けを習わなければならないほど、着るのがめんどうだから。」と何かのコラムに書いていて、「まさに!」と膝を打ったものですが、私に限らず我々は、知らず知らずのうちに「面倒くさいもの」を生活から排除しがちです。一国の文化すら廃れさせるぐらいですから、その破壊力恐るべしです。「セックスはめんどうくさいものなのか!」という議論もあるとは思いますが、その一連の行為を独りよがりではなく行う為には、それなりの面倒くさいはつきものだと私は思います。

 

また、「明日も明後日も出来る可能性が高い事」を敢えて今日、今夜になぜ?的な屁理屈的思考も持ち合わせており、そこにレスの定番「家族になったのだからセックスはしない。」というトッピングが加わると、ナチュラルにセックスレスな未来が待っているかのようです。

 

さて、今、ハタと気づきましたが、私は相当数「セックス」「セックス」書いておりまして、私史上一番「我が子に見られたくないコラム」にこれが仕上がりつつある訳ですが、何をそんなに熱くなっているかといえば、一つは前述したように夫婦やカップルにおけるセックスレスが、その二人の関係すら壊す恐れがあると危惧している件。もう一つは、「もう日本人はセックスをしなくなるかもしれない」(幻冬舎 著者:湯山玲子、二村ヒトシ)を読み、わが身に照らし合わせてディープに考えさせられたからでした。

 

「セックスは面倒くさい」の背景には何があるのか?を、「性愛を語る事ができる希少なプロフェッショナル」なお二人の、この対談集はなかなか絶望感溢れるものでした。文中で湯山さんは「女を軽蔑する事が男の欲情のトリガー」であることにうんざりしていて、二村さんは「女性がセックスで承認欲求を満たそうとする」事に萎えていて、セックスが面倒くさいものになり下がるのも当然と、読むものを奈落に突き落とします。改めてセックスとは、行為そのものだけじゃなく、それにまつわる動機や思惑、トリガー含めて、お互いにコミットが必要なものであると思わされるからです。やっぱりめんどくさー。

 

また、一応女の私は、セックスで承認欲求を満たそうとする女性の気持ちも解るし、何故か男性の「相手を軽蔑する事」がトリガーになるのも解かります。私の中にもそういうトリガーがある気がするからです。

 

過去を振り返り、私が惹かれてきた男性は皆、どこか脆くて儚い人が多かったのですが、それは私の「守ってあげたい欲」が発動しているとずっと思っていたわけです。ところがこの本を読んで、それは私の形を変えた支配欲ではなかったか?相手を下に見る事でただ欲情していたのではないか?という見たくもなかった深淵をのぞき込む羽目になりました。何故なら、結果的にそのお相手を侮辱しないで終えた恋愛ってあっただろうか?と、過去を振り返って気づいてしまったからです。激しい感情が行き来する恋愛期間の、駆け引きめいたやり取りの中で、相手を侮辱しないエネルギー交換をできたためしが私にあっただろうか?と。

 

そして、長く付き合ったり同棲したりすると、今度は安定して激しい気持ちがなくなり、侮辱したり傷つけたりはしないけれどもレスになったりしました。それはそれでお相手の希望によっては、形を変えた、でもれっきとした侮辱である訳です。自身の性のトリガーが、実は残酷さや禍々しさを帯びてたと知るのはなかなかにしんどく、それを二村さんがおっしゃるように「プレイの中だけで楽しむ。」には、なかなかな器量が必要であると思った次第であります。

 

さて、対談の中でAV監督である二村さんは、レスが蔓延る日本において「それでもしたい人」向けに、更なる「性の向こう側」を紹介していて、唯一この部分は読む者をアグレッシブな気持ちに誘います。実際に体験するかどうかは別として(笑)。

 

ただ、この本が読者に一番突きつけてくるのは、「いかに我々が自分とパートナーの性に対してちゃんと考えてこなかったか?」だと私は思いました。彼らのように、ちゃんと性を語る言葉も持たず大人になり、もしかしたら自分がパートナーを不幸せにしてしまうかもしれないのに、「なんとなく」見て見ぬふりをし続けてしまった「性」。コミュニケーションとしてもその半数が機能させられなくなってしまった40代の性がこれからどうなるのか?自分はどうしたいのか?パートナーは本当はどう思っているのか?と、自問自答しまくること請け合いです。そして、この自問自答を40代でできたこと(著者のお二人は50代)はとても有意義であったと思います。私達はこれから、未だどちらにも舵を切ることができるぎりぎりの世代だから。

 

最後に一番刺さった二村さんのセリフ、
「大人だということは、〝もうそんなに長い時間は残っていないんだから、なるべく他人を幸せにしよう″と考えることだ。」
この精神で夫婦やカップルが「性」に対して、もしくは「二人の関係性」に対して向き合い、コミュニケーションを取って行けたら、幸せな50代になれそうな気がします。

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