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日本の古い文化は、COOLです。【初めての住育003】

2016/07/18

竹島靖

コピーライター・住育研究家

竹島靖

Google検索「伝説のコピーライター」で出ます(笑)。

日本の夏は、日本の伝統的なアイテムを生かして、COOLに過ごしましょう。

20世紀の三大建築家をごぞんじですか。
ええ、日本にも彼らの設計した作品が残っていますよね。

 

コルビュジエ。ミース。フランク・ロイド・ライト。

 

スイス人のコルビュジエは、上野の国立西洋美術館を設計。いまや世界遺産への登録がぐいぐいと進行中。つまり上野のキラーコンテンツ。そのうち、西郷さんの隣にコルビュジエの銅像が立つ日がくるかもしれませんね(笑)。アメリカ人のフランク・ロイド・ライトは、愛知県に移築された旧帝国ホテル、そして目白の自由学園明日館を設計。ドイツ人のミースは、モダンデザインの源流バウハウスの三代目校長です。

 

やはり、この中で最も日本に縁が深いのは、フランク・ロイド・ライトでしょう。

 

1893年シカゴ。
おや、むこうから歩いてくるのはフランクじゃないですか。ここはシカゴ万国博覧会。見上げています。見入っています。吐息のあとでつぶやきました。

 

「イッツ・ソー・クール(ヤバいよ。すっげえカッコイイじゃん)」

 

のちの建築界のスーパースター、フランク・ロイド・ライト。当年26歳。彼の視線の先にそびえたっていたのは何か。日本館「鳳凰殿」。初めての日本建築との邂逅です。

 

1919年ヨコハマ。
帝国ホテル着工のためフランク・ロイド・ライト来日。彼の設計を手伝うために同行したのがアントニン・レーモンド。やがて日本に事務所を構え、多くの逸材を輩出させたチェコ生まれの建築家です。12月31日の夕刻。国道1号をクルマで走ります。東京へ。窓を流れるエキゾチックな風景。アントニン・レーモンド、運命の国、日本との出会いでした。

 

「ライト・イズ・ライト(マジかよ。ライトの言ってたとおりカッコイイ)」

 

この2つシーンは、史実をベースにしたわたしの勝手なフィクションです。時制や場所は忠実ですが、セリフなどを創作しました。まずフランク・ロイド・ライト。シカゴ万国博覧会で日本館「鳳凰殿」に衝撃を受けたといわれています。いっぽうアントニン・レーモンド。彼は、伊勢神宮や古民家の中に、世界のアーキテクトが追求したモダニズム建築のエッセンスを見いだしています。

 

後年、結実したというレーモンドの5原則。自然、単純、正直、直裁、経済性。これは、まさしく日本の伝統的な家づくりの体現してきた概念といえるのではないでしょうか。彼の弟子には、前川國男や吉村順三など建築史を彩った逸材が名を連ねます。
もちろん、桂離宮を世界に喧伝したブルーノ・タウトは、日本の住まいに対する評価も残しています。

 

英語のCOOLには複数の意味があります。まず「かっこいい」という意味で、建築をはじめとした日本の伝統的な文化は、日本人の思っている以上にクールなのです。ミニマルで本質的。欧米では、このZENな美意識を体現するアイテムで人気なのがFUTON。考えてみればモバイルなベッド。これがクールでなくて何でしょう。ZENの遺伝子を継承する無印良品は、もはや世界のMUJIとして愛好されています。浮世絵だってクールです。フランス人は大注目。印象派の黎明を刺激しました。フランク・ロイド・ライトが浮世絵のバイヤーだったのも有名な話。

 

それから「涼しい」という意味。かつて日本の家は、風土に立脚した意匠と構造を持ち、オーガニックでサステイナブルな建材で編集されていました。木、土、紙。しぜんな調湿機能を備え、風の流れる家。顕著なのは京都の町屋。都市に集積した住まいでありながら、いかに季節と折り合うかという工夫が凝らされていました。エアコンをかけると廃熱でヒートアイランドが加速します。昔日の人々はどうだったのでしょう。たとえばスダレをかけたり、打ち水で風を通したのです。

 

そういえばシックハウスの対策は、自然素材を増やし、換気を心掛けること。何のことはない往年の家じゃないですか。日本人はあらゆるシーンで美と道を発見する国民です。月を愛で、虫の声に感じ、お茶を飲む行為が道となってゆく。地球温暖化の対策のヒントは、ご先祖様に聞いてみたらどうでしょう。自然に対する畏敬や共鳴。高い精神性。エコロジーでサステイナブルなライフスタイル。やっぱり江戸時代ってロハスだったと思うのですが。

 

温故知新。日本のクールな文化に誇りを持ち住育として継承する。あるいはリデザインする。それができないなんて、ホントにMOTTAINAIと思いませんか。

 

いまやすっかり洋風化された日本の住まいのシーン。しかし、じつは日本の伝統的な住まいやアイテムはある種、トップランナーともいえるでしょう。

 

目を閉じて、日本のオーセンティックな夏の文脈をイメージしてみましょうか。いわゆる柱や梁で構造を支える木造軸組構法の古民家。陽が落ちた庭に打ち水して風を呼び込みましょう。あなたは左手にウチワを持って、浴衣で縁側に出ます。
お、いい感じで風が出てきたね、だって風鈴の音がしたからさ。

 

シャリ感があって夏涼しい畳には、いつの間にか、やはり浴衣を着用して髪をアップにしたクールビューティが、お盆の上にアイスコーヒーを置いていってくれました。アイスコーヒー。日本発祥のコーヒーのスタイル。関西では「冷コー(レイコー)」とも呼ぶ夏の風物詩。コーヒーはHOTが常識という多くの外国人にとっては、クールジャパンのアイテムのひとつ。そして、あなたは奥のクールビューティに声をかける。麗子(レイコー)、いっしょに冷コー(レイコー)飲もうよ。って妄想はこれぐらいで閉店しましょうか(笑)。

 

たとえば置き畳、風鈴、打ち水あたりから始めてはどうでしょうか。近代の生んだクールジャパン=アイスコーヒーは頼まれなくても常識ですよね。え、さっそく置き畳をやってみますか。そもそもルーツを遡上すれば、畳は敷きつめるものではなく、必要に応じて配置するのが原型ですし。

 

エアコンの出番は減らす。和の出番は増やす。エコロジカルでサステイナブルなクールサマーをぜひ。って逆に英語ばっかりですね(笑)。

 

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