『シン・ゴジラ』大ヒット! 人気シリーズのリアルさと“深み”

単なる巨大生物ではない“Godzilla”に込められたもの

7月29日、ゴジラ映画の最新作『シン・ゴジラ』が公開され、大ヒットを記録しています。日本でゴジラの新作が作られたのは12年ぶりのこと。しかし今回で29作目、ハリウッド版も2作品作られていますから、映画史上屈指の人気シリーズと言っていいでしょう。きっと、それぞれの年代の人たちにとって“俺たちの世代のゴジラ”があるはず。1972年生まれの筆者の場合、1984年に久々に復活した『ゴジラ』が思い出深い作品です。

 

ゴジラをはじめとする怪獣映画の最大の魅力といえば、やはり街を破壊する怪獣たちの暴れっぷりであり、怪獣同士のド迫力バトル。現実にはありえないことを見られるからこそ面白いわけです。が、決してそれだけではありません。

 

ゴジラの1作目が公開されたのは、1954年(昭和29年)のこと。第二次世界大戦の終戦が1945年ですから、そのわずか9年後です。夜の東京に上陸し、破壊の限りを尽くす大怪獣の姿は、当時の観客に空襲の記憶を蘇らせたはず。しかもゴジラは水爆実験で目覚めたという設定。そこには“核の恐怖”も盛り込まれていたわけです。

 

エンターテインメントの中に社会的要素、世相を反映させる部分があったからこそ、ゴジラは単なる“巨大生物”とは違う深みを持ったとも言えるでしょう。1971年の『ゴジラ対ヘドラ』では、当時の社会問題である公害から生まれた怪獣・ヘドラも登場。また有名な話ですが、ゴジラの英文表記は“Godzilla”。God=神という言葉が入っていることにも意味を見出すことができるのです。

 

今回の『シン・ゴジラ』も、エヴァンゲリオンのクリエイターである庵野秀明総監督によって、現代的な作風となっています。端的にいうなら、それは“震災後の時代のゴジラ”。ゴジラに破壊された街の風景は被災地を想像させますし、ゴジラに立ち向かうのはスーツや防災服姿の政治家たち。ゴジラという“究極の大災害”に、日本という国がどう対処するかをリアルにシミュレーションしているのです。

 

つまり、それだけ“語れる”作品になっているということ。制作者たちがゴジラにどんな思いを込めてきたかを感じるのも、シリーズの大きな魅力なのです。

 

橋本宗洋

橋本宗洋

フリーライター

1972年、茨城県生まれ。格闘技、プロレスなどを中心に執筆。たまに書籍の編集や映画の取材も。アイドルのライブに行ったり深夜ラジオ聴いたりで、好きなものが中学生の頃からあんまり変わってない40代。