薩摩琵琶という楽器の未来 其の二

薩摩琵琶に魅せられたひとつの理由は一言で言うと「音の揺らぎ」が不器用で生々しい事。

日常に音楽が溢れ、トレンドやカテゴライズはもはやボーダレス。すべての業種に言えることですが、多くの情報量の中で、いかに新しい体験が出来るか。想像を超えた未体験を味わえるか。
普段音楽を聴く環境も、現代は場所を選ばず気軽に持ち運べ、気ままに好きな曲を個人がチョイスする。
情報量が増えるということ、音楽ではより芳醇な音質「ハイレゾ」に到達しうるのかは一つの課題だと思います。

昔から音楽家はレコーディングでもマイキングやアンプのセッティングだったり、アンビエント(周囲の環境、残響、距離感)にこだわりを持って作っていますので、より良い音で聴く人が増える可能性というものは、私達にとって嬉しいことです。
現代ではすでに楽器の音はサンプリング技法の誕生と発展により資金や演奏技術を持たない音楽家にも、高品質な音楽を制作することを可能にしました。すでにレコーディングに際し労力を掛けずとも、パソコンを開いて音楽ソフトを立ち上げれば、スタインウェイのグランドピアノなど、芳醇な音色で出てくるし、それをボタンひとつで大ホール、ガレージ、大自然の環境もバーチャルに再現できます。

 

故に私が薩摩琵琶に魅せられたひとつの理由は一言で言うと「音の揺らぎ」が不器用で生々しい事。
そして、楽器のタッチ、駒(フレット)と弦の接点の微妙なニュアンス、強すぎず弱すぎず琵琶専用に編んでいる絹糸から紡ぎ出される弦のテンションを指で感じ、音の揺らぎを生成する気持ちよさ。

 

クオリティーの高い修正が出来る現代と逆行し、不安定さこそオリジナル、永遠のソロ楽器!(笑)薩摩琵琶は
揺らぐ事に重きを置き余韻を伝え音と音の間に張り詰めた緊張を生み、そしてたった一音で圧倒的に解放される。

 

その永遠のソロ楽器がアンサンブル(合奏)に挑戦したらどうなるか、その扉の向こう側に何があるのかを今模索している所です。

 

「ハイレゾ」は多くのリスナーに薩摩琵琶を聞いてもらえる方法の一つとして面白いと思う。

鎌田薫水(カマダ クンスイ)

鎌田薫水(カマダ クンスイ)

薩摩琵琶奏者

藍綬褒章授章者である雨宮 国風に詩吟を師事。 田中井 琇水に薩摩琵琶を師事。二代目薫水を襲名。 大久保利通公135回忌慰霊祭奉納。 大山阿夫利神社 磐長姫鎮座祭式奉納。 大和市文化芸術賞賜。日本琵琶楽コンクール優勝。 文部科学大臣奨励賞・NHK会長賞受賞賜。 日本コロムビア全国吟詠コンクール優勝。 上海万博日本館演奏。国立劇場出演等。 GOODLOVIN’としてソニーレコードからデビュー。 CHEMISTRYさんに楽曲提供そしてLIVEツアー参加