あなたは「高負担」に耐えられますか

日本の借金は先進国中最悪です。対策は歳出の削減と歳入の増加しかないのですが・・・

日本の財政はとても厳しい状況にあります。前回(https://40life.lucido.jp/article-5/)も少し触れましたが、財政破綻で外部の支援を仰がねばならなかったギリシャなどよりもひどい状態なのです。

 

ただ、国が借金している相手はほとんど日本の国民であってギリシャのように外国(大半はドイツ)から借りているわけではないから、大丈夫だとする議論があります。つまり、外国金融機関が日本国債を保有していると、彼らが売りに回って国債の相場が下がり、流通利回りが上がって、その結果、日本政府は高い利率をつけなければ国際が売れなくなるかもしれません。しかし、日本人が保有していれば、そうした「売り圧力」はないから大丈夫だという議論です。

 

しかし実際には、日本銀行が金融機関から毎月8兆〜12兆円も買い入れているため、流通利回りが上がらないのです。いわゆる「量的緩和」、日銀の黒田総裁が就任した2013年から始まった「異次元の金融緩和」がずっと続いています。そのおかげで円は安くなり、株価は高くなりました。

 

問題は、これほどの金融緩和をいつまで続けられるのか、というところにあります。カネをどんどん市中に流せば、それはバブルを生むということは分かっています。日本では1980年代がそうでした。アメリカでは21世紀の半ばまで住宅バブルが続きました。今の日本で株価が上昇しているのも、バブルなのかもしれません。しかしバブルはいつか弾けます。

 

アメリカでは昨年秋に量的緩和を終え、今度はいつ金利を引き上げるかが話題になっています。FRB(連邦準備理事会)は、景気の足取りがしっかりしてくれば、今年中にも引き上げるとしていますが、注意しなければいけないのはアメリカの景気だけではありません。もしドルの金利が上がれば、資金はいっせいに米国に還流し、新興国が自国通貨安に見舞われることになります。そうなると輸入物価、とりわけエネルギーの価格が上昇し、経済にブレーキがかかります。

 

アメリカの金利引き上げでそうした世界経済が混乱すれば、日本の国債もとばっちりを食うかもしれません。もしそうなれば、国の利払いが増えるだけでなく、金融機関が保有する国債の価格が下がり、その結果、評価損あるいは売却損が発生します。そうした損失が発生すると、金融機関は新しい融資の停止や既存の融資の引き揚げをせざるをえなくなります。中小企業の資金繰りは間違いなく厳しくなるでしょう。現に、1990年にバブルが弾けた後、日本経済はこの現象に苦しみました。

 

こうした事態に陥らないためには、何としても財政再建の道筋を明確にして、内外の投資家(金融機関など)に示さなければなりません。それが「2020年に基礎的財政収支の黒字化」という国際公約だったのです。いまこの公約を守ることは非常に難しい状況です。2017年4月に消費税を10%に引き上げ、相当楽観的な経済見通しを前提にしても、まだ6兆円ほど足りないという試算が発表されています。

 

要するに、さらに消費税を引き上げないと国の歳出を賄うことができないということです。やがては北欧諸国のように20%を超える消費税というのも視野に入るかもしれません。それでも北欧諸国のような「高福祉」を実現するのは難しいかもしれません。麻生財務大臣はかつて「日本は中福祉中負担」と言いましたが、下手をすると「中福祉高負担」という可能性もあります。それをどうやって解決するか、政治はどこまで国民に負担を求められるか、政治の実力が問われます。

藤田正美

藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長/東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員

「ニューズウィーク日本版」元編集長。 東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年~2000年に同誌編集長、2001年~2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。現在、東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員。