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女に捨てられる男、捨てられない男。

2016/11/28

川崎貴子

株式会社ジョヤンテ代表取締役

川崎貴子

女性マネージメントのプロ

夫婦の幸せの形は、夫婦の数だけあるのではないでしょうか?そして、その形は外部には解らない。私たちは世間に対して結構上手に「幸せそうな夫婦」を演じることができるから。
「金の切れ目が縁の切れ目」

仕事を頑張りプライベートもそこそこ頑張って、人生を半分以上生き抜いた我々40‘Sにとって、こんなにも悲しい格言が他にあるでしょうか?どんなに割り切って、もしくは達観したかのようにつぶやいたとしても、その圧倒的な寂寥感に内蔵がやられそうです。

 

ビジネス上の関係なら未だ割り切れたりしそうですが、こと友情や愛情で関係を紡いでいたつもりだったお相手から、「金の切れ目」をきっかけに縁切りされてしまうのは、もう若くないのも手伝って相当応えるものだと思います。

 

特に、長年連れ添った妻から、「倒産」「リストラ」「疾病」などのタイミングで離婚を突き付けられた日には、ただでさえ瀕死の重体な所に息の根を止められるようなもの。どんなに気丈な殿方でも、「神も仏も無い」と、人生に絶望してしまうのではないでしょうか?私がその夫の立場だったら確実に自暴自棄、もしくはあやしい宗教に入信する気がします。

 

私が子供の頃、近所にとても素敵なご夫婦が住んでおりました。そのご夫婦は、実業家の夫と専業主婦の妻という組み合わせで当時40代前半、子供はいなかったと記憶しています。他の家庭とは一線を画す大きくてお洒落な邸宅。いつも化粧を施して綺麗な格好をした奥さんが、これまた洒落たペットの犬を散歩させている姿はドラマのワンシーンの様で、私を含む近所の女子たちの憧れでもありました。

 

奥さんの姿を見なくなったのは、「ご主人の会社が危ないらしい」と近所でささやかれ始めた少し前ぐらい。ずっと姿を見せなかった奥さんが久しぶりに家に戻ったのは、ご主人がその大邸宅で一人自死したその整理の時だけでした。近所のおばさん達の噂話なので本当のところは解りませんが、「もうとっくに別れてるので!」と、自分のアクセサリーや金目のモノなどをさっさと持ち帰り、葬式も義実家に丸投げだったそうです。

 

「女って怖い!」「結婚って儚い!」「おじさん、かわいそう!」と、子供心に奥さんの悪女ぶりと「金の切れ目が縁の切れ目」という世知辛い教えが魂に刻まれた、そんな出来事でした。

 

が、十分大人になった今振り返ってみれば、果たして、奥さんが一方的に悪かったのかどうか大きく疑問が残るところです。もしかしたらご主人によるDVやモラハラや浮気があったかもしれない。もしかしたら会話の無い夫婦でセックスレスだったかもしれない。もしかしたら奥さんは、それらを恨みに思いずっと孤独を感じていて、「別れられる機会」をずっと待っていたのかもしれない・・・。
今となっては解る筈もありませんが、「夫婦の‟本当の所“とは外部には解りづらいもの」だと、私もかつて離婚した後、世間や親族から「離婚理由」を求められる度、言語化しなければならない度に思い知ったものでした。

 

方や、「俺、よくあの時、嫁さんに見捨てられなかったよなぁ。」と、先日不思議そうにつぶやいた私の15年来の友人、I氏の例は真逆でございます。

 

彼は、婚約中だった2年前、二度の心肺停止に陥りました。親族は医者から「覚悟してください。」とはっきり宣告され、彼はその時どっぷり「死の世界」に身を置いていました。我々友人たちもその情報を伝え聞きながら、ずっと目を覚まさないI氏の死をゆっくり、せめて苦しみませんようにと次第に受け入れていったものです。

 

ところが、I氏の奥さん(当時は婚約者)だけは絶対にあきらめませんでした。医者が漏らした、「例え息を吹き返したとしても植物状態です。」という言葉から、「I氏の命だけは助かるかもしれない」という一縷の望みに賭けたのです。彼女はI氏が植物状態で生還する事を考慮してバリアフリーの住居を調べ、毎日手を握り、ずっと話しかけ、一心不乱に祈りました。そして、奇跡は起きました。

 

今ではすっかり元気になって、仕事も運動もこなすI氏は、結婚していたわけでも無い当時の奥さんの事を、それはそれは不思議そうに振り返っていました。しかし、私は、解るような気がするのです。

 

二人が付き合う前からずっと、I氏は彼女が抱えていたあるトラブル(彼女のせいではないのに被害を被ってしまった問題)を、全精力を傾けて解決していったことを思い出したからです。世の中には、無情な女も根っからの悪女もいるにはいるけれど、大抵の女性は自分の人生の一大事に、体を張って助けてくれた人の事をそう易々と自分の人生から切り捨てることはできません。

 

こんな私ですら、結婚9年目にして夫との日常で「こんにゃろー!」と思うことが多々ありますが、私が一番大変だった時に、私と娘(前夫の子)を全力で支えてくれた恩はやはり忘れられないのです。

 

勿論、過去の恩だけで夫婦関係がうまく行くものでも無く、I氏の例で言えば「残りの人生は神様と奥さんの贈り物」とばかりに、奥さんの笑顔がみたくて、二人で幸せな時間(食いしん坊の二人は主においしい食事タイム)を過ごしたくて、それをエネルギーに毎日を頑張っているからこそ二人はデイリーに幸せなのだと思います。

 

結婚をしたり、パートナーができたりすると、「相手が何を幸せに感じるか」よりも自分がやりたいことをやって、夫や妻の義務を果たしている気になってしまいがちです。二人の関係に不協和音が漂うと、妻は「もっと二人の時間が欲しい。」と思っているのに、夫は「もっと俺が金を稼がないと!」などと思いこんで更に仕事に没頭し、関係を悪化させたりします。察して欲しいと思いがちな妻に、真逆な攻撃を「良かれと思って」お見舞いする訳ですから、そりゃあ、「もう愛情が無いのね・・・。」と捨てられ率はアップしますとも。

 

女がその手を離せない、「捨てられない男」とはきっと、パートナーである女性の「幸せのツボ」を的確に捉えられる男なのでありましょう。そのツボを知るために、時にプライドを捨てても体を張れる、相手に素直に聞いて変化することができる、要は、「この人だ!」と決めた他人としっかり向き合えるかどうか。そして、それは結構思うよりずっと、愛と勇気がいることだと思われます。

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