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人工知能は音楽を凌駕するのか

2017/01/08

鎌田薫水(カマダ クンスイ)

薩摩琵琶奏者

鎌田薫水(カマダ クンスイ)

薩摩琵琶楽錦心流一水会 師範/橘流吟剣詩舞道会 宗嗣

もはや想像を超える速さで分析され尽くした感がある・・・ だからこそ「ゆらぎ」に希望を持ちたい。

人工知能(AI)は目覚ましい進化を遂げ、産業や生活の中で存在感を強め、今ある我々の価値観さえも容易く飲み込み、この社会を劇的に変容させるのでしょう。

 

私個人としてはAIの革新的な進歩は恐ろしくもあり、裏を返せば楽しみでもあります。現に自動車メーカーでは自動運転の開発も着々と進み、AIやIOTの先進技術により安全で便利になる昨今、人工知能は2045年までには人間をも凌駕すると言われています。

 

では人工知能は音楽、そして伝統芸能に今後どのような影響を及ぼすのだろうか。以前から良し悪しは別として、ランダムで自動に曲が作成出来るソフトやアプリケーションは存在しますし、音楽理論のルールに則った作曲方法はすでに成熟している。人間が聞いて心地よいパターン、組み合わせの法則があるのは厳然たる事実であります。

 

云わばパズルのように、音楽のルールは和音やリズム、長調や短調、テンポなど、小節として区切られる旋律の集合体として形成され、徐々に大きく、強く、次第に小さく、弱くなど、譜面という名の設計図に様々な決めごとを記す。心地のよい音楽には整然としたルールがある。もはや想像を超える速さで分析され尽くした感がある。印象的なパターンを繰り返すリフレインの中で、心の琴線に触れ、感情が自然発生的に高揚し、感動に直結する。

 

AIは音楽のそれさえも超越するのであろうか? であるならば既に音楽はアーカイブされてしまったのか?新しい音楽の存在意義はあるのか?昔も今も合理性が追求されていく過程の中で、音楽の先駆者達はアイデンティティーの消失を恐れただろう。故に逸脱を試み、突き進み研ぎ澄まされ、歴史に残る名曲をどのように生み出していったのであろうか?逆にものづくりの原動力は好奇心からくるシンプルな衝動なのか?はたまた死生観からか?

 

この考察は正に生きるテーマの根幹なのか?・・・謎は尽きない。

 

とは言え、演奏者として冷静に人工知能の未来を受け入れれば、自ずと答えは見つかるのかもしれない。

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