HOME > 生 活 > NYで「普通」でいること〜ジャズピアニスト、海野雅威(うんのただたか)

NYで「普通」でいること〜ジャズピアニスト、海野雅威(うんのただたか)

2017/03/29

渡部 晋也

舞台写真家、音楽ライター

渡部 晋也

ジャズから中南米やハワイの音楽。さらに日本の伝統音楽まで幅…

ピアニストとして数々のレジェンドと共演を重ねるピアニストのライフスタイルとは。

日本人メジャーリーガーではないけれども、ジャズの世界でも本場アメリカで活躍するプレイヤーが増えてきている。その始まりともいえる穐吉敏子から、学生時代から頭角を現した小曽根真。そして世界中を駆け回る上原ひろみや、プレイヤーとしてだけでなく教師としても活躍する山中千尋など、多くのジャズ・プレイヤー達が米国、それもNYを拠点にして活動を続けている。

 

その中でぜひ注目したいのがピアニストの海野雅威(うんのただたか)。日本で多くのセッションに参加していた9年前にNYへ移住。偉大なるピアニストの一人、ハンク・ジョーンズと親交を持ち、大御所ドラマー、ジミー・コブのトリオへの参加をはじめ、多くのトップ・プレイヤー達との共演を重ねている。つい先日も人気トランペッター、ロイ・ハーグローヴのグループにピアニストとして来日した。    

「日本人で初めてロイのバンドメンバーに迎えてもらえて、今までの縁や繋がりに感謝していますが、彼とブルーノート東京に出演することは特に感慨深いです。というのは、ここは子どものころ父に連れられてアート・ブレイキーのライヴを観たところで、ジャズに興味を持つきっかけになった場所だからです。あのときアート・ブレイキーが僕の頭を撫でて”ナイスボーイ!”と話しかけてくれたんです。」もしもアート・ブレイキーが存命なら、涙を流して喜びそうなエピソードだ。

 

さて、冒頭に書いたように現在もNYやバークリー音楽大学(ジャズを学ぶ学校の代表格)のあるボストンには大勢の日本人が暮らし、活動を続けている。その中で海野が特別なのは、あくまでも「普通の」ジャズメンとしてNYで生きていることだろう。学生や武者修行として滞在するプレイヤーは多いが、この街で演奏して「生きていく」というのはなかなかハードだ。それを実現している海野には、やはりこの街でなければいけない理由があるのだろうか。  

「確かに刺激的な街ですが、ここにいないと自分の表現ができない、というわけではないです。だから数年したら別の場所にいるかも知れない(笑)でも一年にほんの数回、やっぱりこの街でないと体験できないよね、というようなことが起きるんです。それが面白いですね」

 

そんな姿勢の積み重ねが信頼を生み、そして多くの大物プレイヤー達に愛される源になるのだろう。もちろん、話しているときに見せる柔らかな笑顔もポイントになっているはずだが。

 

もちろん海野はサイドメンとしてだけでなく、自分自身が主役となるグループでの活動も進めているという。「でもまずは沢山のプレイヤー達と演奏するのが大切ですね」となかなか慎重な姿勢を見せるのも海野らしいところだろう。

 

もしも皆さんが出張や旅行などでNYを訪れることがあったら、彼のFacebookやスポット案内でその演奏に出かけてみて欲しい。NYジャズ・シーンのメイン。メンバーとして活躍する姿を耳目にすることができるはずだ。

このキュレーターの他の記事を読む

夏はやっぱりビアガーデン…ではなく、ジャズフェスはいかが?

2017/07/14

音楽を愛する心がにじみ出る、そんな2つのフェスをご紹介 メリハリのある春夏秋冬は世界に誇るべき日本の魅力の一つ。その中でも一番ご陽気な夏は、フェスティバルの季節だ。サラリーマンにと…

これからジャズを聴いてみよう!という人に送る。超入門盤3枚

2017/06/23

広大なジャズの世界も今年で100年。さて、どこから入ろうか? もっともジャンルやスタイルに誕生日があるわけではないので、大概は初録音とか決定的なコンサートがあった年をその始まりとして…

進化するジャズ。その最先端は熱狂するステージにあった。

2017/05/24

かっこいい”踊れるジャズ”でシーンを牽引するTRI4TH(トライフォース) ジャンルを問わず、全ての音楽は常に進化を続けている。もちろんジャズも例外ではない。 かつて新大陸に連れてこられた…