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大人の男が愉しむ酒は、個性あふれる手造りの蔵から選ぶべし!

2017/05/18

地酒業界の伝道師 林 宏憲

株式会社酒乃店はやし 代表取締役

地酒業界の伝道師 林 宏憲

高級和酒の販売を主とする株式会社 酒乃店はやしのチームリーダー

vol.6 福井県、若狭に位置する漁師街の男酒 「早瀬浦 -hayaseura-」

涼やかな風が吹く若狭湾と、国定公園である三方五湖にはさまれた場所に位置する早瀬地区。こちらには、昔から北前船や樽廻船などが寄港し、地元客を相手にしたマーケットである“浦”がありました。そんな田圃も宿もない、酒造りには珍しい場所に、三宅彦右衛門酒造有限会社は、江戸時代中期の享保3年(1718年)に創業しました。

そんな歴史ある造り酒屋の12代目、三宅範彦(みやけのりひこ)氏は現在45歳。本人によると、このような場所で受け継がれてきたのは、脱穀用具の千歯扱き(センバコキ)発祥の地であることからも分かるように、頭脳明晰な職人商人の気質が残っている土地で生まれ育て鍛えられ、そのような先人たちを目指し続けているからだそうです。

早瀬には船主自身が船頭を兼ねて船に乗り、廻船業を行った『直乗り船頭』が多くいました。彼らは、優れた航海術・歌などで人を楽しませる才能・正直な言動で得た信用という3つの能力を兼ね備えており、職人や商人の鏡でした。このように実直な職人商人気質を早瀬浦のお酒では表現していると蔵元は語ります。

 

骨太でくっきりとした輪郭ながら、どこか瑞々しいやさしい印象。これは、ミネラル分が豊富な発酵力の強い水で仕込んでいるからできる味わいです。また範彦氏は、米でつくるからこそ口にする温度で全く違う味わいを感じる、表情豊かなお酒を目指しているとも言います。「炊き立てのごはんでも、冷めたおにぎりでもお米はうま味たっぷりです。日本酒も同じように、燗につけても冷やしても美味しく味わいたいですよね。」

さらなる高みを目指して、今期の造りでは初めてのマイナス貯蔵管理ができるタンクを3基新設するという設備投資を行いました。搾りからそのまま氷温管理し、きめ細やかな貯蔵コントロールによって、より新鮮な酒を醸すことができたようです。

創業300年の目標は?

平成30年は、創業300周年という大きな節目。来たる年を迎えるにあたって、今まで以上に四季を感じる酒造りを目標として掲げています。商品構成や出荷のイメージを野球に例えて志を語り、「パーカーポイントでも上位にランクインし、蔵の牽引車的なお酒である純米吟醸が1番バッター、シルバーラベルが印象的な安定感抜群の純米は2番、3・4番には純米大吟醸や大吟醸をスタメンとしながら、季節酒も交えつつ早瀬浦を広めていきたいです。」

 

今後も蔵を継承していくにあたって、ふたりの愛娘をもつ当主は、アルコールではない食料品の分野への進出をも意識しています。へしこやなれずしのような発酵食品が食卓に並ぶこの早瀬地区で、麹を使った新たな商品も展開することが夢。

 

未知なるものへ挑戦する、三宅彦右衛門酒造のこれからも目が離せないことでしょう。

 

【酒にまつわる豆知識 vol.5】
鯖は、若狭から京都へと塩漬けの鯖を運んだという”鯖街道”があるほど、関西ではなじみ深い魚。 特に大阪の鯖寿司は”バッテラ”と呼びますが、これはポルトガル語でボート・小船を意味する バッテイラ-bateira-)が語源だと言われています。江戸から明治にかけて、伝搬船などのことをこう呼んでいたそうで、魚の姿を小船に見立てて、大阪の寿司屋で名付けられたのが最初なんだとか。でもその当時は、コノシロで作った押し寿司のことを指したのですが、高騰したコノシロに変わって、鯖で作られるようになったものの、バッテラという呼び名だけはそのまま定着したんだそうです。

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