HOME > 社 会 > 進化するジャズ。その最先端は熱狂するステージにあった。

進化するジャズ。その最先端は熱狂するステージにあった。

2017/05/24

渡部 晋也

舞台写真家、音楽ライター

渡部 晋也

ジャズから中南米やハワイの音楽。さらに日本の伝統音楽まで幅…

かっこいい”踊れるジャズ”でシーンを牽引するTRI4TH(トライフォース)

ジャンルを問わず、全ての音楽は常に進化を続けている。もちろんジャズも例外ではない。 かつて新大陸に連れてこられたアフリカ系の人々が、自分たちのアイデンティティや抵抗を詰め込んだジャズ。そこから現在に至るまで多くの融合を経て様々なスタイルを生み出してきた。そうした動きを否定するファンも少なくないが、そんなことお構いなしにジャズはその幅を広げていく。

 

日本のジャズシーンでも同じことが起きている。第二次世界大戦以前からアメリカ産まれの最先端の流行として人気を集め、戦後は爆発的な人気を獲得した日本のジャズ。そんな背景があるから、昨今ではオールド世代の音楽と思われがちだが、新世代のプレイヤーも続々と生まれているし、彼らの手によって様々な進化を遂げているのだ。

そんな進化の一端を現しているのが、ここで紹介するTRI4TH=トライフォースだ。ピアノ、ベース、ドラムのリズム隊にトランペットとサックスが加わったクインテットだが、編成自体が珍しいわけではない。ただ彼らのジャズは小難しい顔をして身じろぎ一つせず聴くジャズではなく、クラブのフロアを回遊しながら、ビールでも片手にステップを踏む、彼らの言葉を借りれば「踊れるジャズ」なのだ。

「今年で11年目になりますが、最初は僕とトランペットの織田、そして初代のピアニスト3人で始めました。それから他のメンバーが入り、交代して今の形になりました。最初はジャズへのあこがれから始めたところがあったんですが、バークリーから帰ってきたベースの関谷がジャズ的な要素をだいぶ持ち込んでくれましたね。そんなわけで音楽のスタイルは最初から見るとだいぶ変わっています」(伊藤)

 

ちょうど彼らが活動を始めたのは、同じ編成で「侍ジャズ」の異名をとったPe’zが人気を得ていた頃だ。もちろん影響も受けているはずだ。

 

「バンドを初めて曲を作り始めたときには、Pe’zが人気だった時期でしたし、トランペッターのウイントン・マルサリスがアップルのCMで吹いていたりと、かっこいいインスト・ジャズが世の中にある時期でしたから、それらの影響はありますね」(織田)

 

「ただ僕たちは明らかに特定のバンドを目標にしてきた訳ではなく、少しずつメンバーが集まるに従って形ができてきた感じです。メンバーそれぞれが別の影響をうけているので、全員の個性を活かす方向を考えたら現在の様になりました」(竹内)

 

かっこいいジャズ。そう、ジャズはかっこよくなければいけないのだが、トライフォースの音楽はまさにそれを体現している。CDや配信で彼らの音楽を聴くこともできるが、できることならライブを体験して欲しい。タイトなビートに乗せてホーンセクションが奏でる叫びにも近いメロディ。ステージ狭しと駆け回り、さらに客席にも飛び出していくサックスの藤田。まるで音の槍を客席に放つようなトランペット織田のソロ。ウッドベースを振り回しながらエフェクトをかけた独特の音色でバンドを引っ張る関谷。まるでピアノと格闘するかのように鍵盤に向かう竹内。そしてボルテージが上がると立ち上がってビートを刻むドラムの伊藤。こんな演奏を聴かされたらお行儀良く座ってなんかいられないだろう。

そんなトライフォース。ここから一気にのし上がっていくのか、それとも地道にファンを育てていくのか、彼らはいったいどちらを向いているのか。

 

「完全にメジャー指向ですね。より多くのお客さんに届けたいと思っています」(伊藤)

 

なかなか頼もしい答えだ。さらに「まだ達成していないのが、ロックフェスに出ることです。そこに出て行っても遜色がないサウンドを作ってきています」(伊藤)とも。

 

いやいや、この爆発力があれば夏の野外フェスのステージも間近だろう。日本ジャズシーンの最先端サウンドを、是非体感して欲しい。

*最新アルバム「Defying」(PWT26) 2016年9月リリース

*大阪発エンタメジャズバンド、カルメラとのスプリット・アルバム 「HORNS RIOT」(PWT33) 2017年5月リリース

このキュレーターの他の記事を読む

ニューヨークで、ジャズと暮らすこと

2017/11/26

ジャズの都、ニューヨーク。この音楽を志すものなら一度は憧れる地で活躍するシンガー、ERIKAを紹介したい。 あらゆるエンターテインメントが集まる街、ニューヨーク。ここには一流のアーティ…

100年間に生まれた、様々なスタイルのジャズについて

2017/10/21

一口にジャズと言ってもいろいろなスタイルがある。でもそれがどうにもわかりにくい。 「いろいろあるけど、結局よくわかんないのよ」彼女は手にしたスターバックスのフラペチーノを少し乱暴に…

Walking down a street to Jazz club.

2017/09/27

ジャズクラブに出かけてみよう 日本は諸外国に比べてもジャズクラブやジャズを聴かせるライブハウスの数が多い国だと思う。東京や大阪などの大都市は言うまでもないが、地方都市にも1軒くらい…

ジャズに見つける「大人のカッコ良さ」とは?

2017/08/23

クールに、時にホットに。そんなミドル・エイジになるために。 この連載で常々書いているけれど、ジャズというのはカッコ良くなくてはいけない音楽だ。言い換えれば常にカッコイイ音楽として歴…

夏はやっぱりビアガーデン…ではなく、ジャズフェスはいかが?

2017/07/14

音楽を愛する心がにじみ出る、そんな2つのフェスをご紹介 メリハリのある春夏秋冬は世界に誇るべき日本の魅力の一つ。その中でも一番ご陽気な夏は、フェスティバルの季節だ。サラリーマンにと…

これからジャズを聴いてみよう!という人に送る。超入門盤3枚

2017/06/23

広大なジャズの世界も今年で100年。さて、どこから入ろうか? もっともジャンルやスタイルに誕生日があるわけではないので、大概は初録音とか決定的なコンサートがあった年をその始まりとして…

NYで「普通」でいること〜ジャズピアニスト、海野雅威(うんのただたか)

2017/03/29

ピアニストとして数々のレジェンドと共演を重ねるピアニストのライフスタイルとは。 日本人メジャーリーガーではないけれども、ジャズの世界でも本場アメリカで活躍するプレイヤーが増えてきて…