投信は初心者向けの商品か(その1)

アラカルトではなくおすすめコース

「そうだ投資してみよう!」と思い立って、調べ始めると、投資商品の選択肢の多さに愕然とし、それだけで嫌になってしまう方が多いかもしれません。パッと思い付くだけでも、株式、債券、FX、金、投資信託、ETFなどさまざまなものがあります。今回は、「何を買ったらいいのかよくわからない!」という投資初心者に向いている「投資信託(投信)」について解説します。

 

投信は、さまざまな株式や債券などを組み合わせた「パッケージ商品」と考えるとわかりやすいかもしれません。レストランで例えると、「アラカルト」ではなく、ある程度中身が決まっている「おすすめコース」のイメージです。例えば、厳選された日本株をパッケージにしたものは「優良日本株投信」、アメリカの有望な人工知能(AI)関連株をパッケージにしたものは「米国AI関連株投信」とラベリングされます。

 

こうしたパッケージ商品のいわば「メーカー」が投信会社(資産運用会社やアセットマネジメント会社とも呼ばれます)であり、投信会社のなかで「どういった株式や債券が良いのか」を判断する専門家(いわば厳選した食材から料理を作るシェフ)がファンドマネージャーです。専門家が選んでくれることに加えて、投信は一般的に1万円から手軽に購入できるのも魅力の1つです。

 

このように投信は、投資初心者にとって非常にとっつきやすいのではないかと思います。しかし、日本だけでも投信は6000本弱あります。今度は「どの投信が良いのか」で迷ってしまうかもしれません。

種類が多すぎる投信、どう分類する?

日本で投信が6000本弱も存在するのは、投信を販売する会社(銀行や証券会社)のニーズに応えて、投信会社がどんどん新商品を開発してきたからです。日本の投信市場では、販売会社のほうが投信会社よりも顧客ニーズを把握しているため優位な立場で、どの投信を売るのかは販売会社次第の面があり、投信会社にとって販売会社が1番大切なお客様です。だから販売会社の意向を重視して投資信託が次から次へと開発されてきたのです。

 

投信の分類はいろいろありますが、このように整理をするとわかりやすいかもしれません。

・投資する証券の種類:株式、国債、社債など

・投資する地域や国:先進国、新興国、アメリカ、日本、中国など

・投資する業界やテーマ:インフラ関連、医療関連、IT関連、人工知能関連など

 

あとは、これらの組み合わせが可能です。世界の株式と債券に分散投資すれば「バランス型」投信になりますし、新興国の株式であれば「新興国+株」投信、アメリカのインフラ関連の株式であれば「米国+インフラ関連株」投信になります。

パッシブとアクティブ

もうひとつ、投信の「運用手法」で分類することもできます。運用手法には「パッシブ型運用」と「アクティブ型運用」があります。

 

パッシブ型運用は、市場全体を表す指数(インデックス)と連動するように運用することを指します。したがって投信のポートフォリオ(資産構成)はインデックスと同じ構成だから、パッシブ(消極的)なのです。これに対して、アクティブ型運用は「積極的に(アクティブに)」インデックスを上回る成績を出すことを狙います。それがアクティブ型運用の付加価値です。パッシブ型運用の場合は、インデックスに連動させるだけですので、マンパワーはそれほど必要なく低コストで運用できます。一方で、アクティブ型運用のようにインデックスを上回ろうとすると、相対的に優れた調査・分析力が必要です。

 

運用の専門家であるファンドマネージャーの読みが当たれば、相場全体の動向に関わらず大きなリターン(成果)を享受できる可能性があります。アクティブ型運用の投信を保有するということは、いわばお抱えのファンドマネージャーを雇うようなイメージです。運用コストだけで見れば、パッシブ型運用が有利ということになりますが、運用成績は市場全体の動きに連動しますので、市場全体が上がれば運用もプラスになりますが、市場全体が下がれば運用もマイナスになります。

 

これら投信分類や運用手法の違いを知ったうえで、投資するひとりひとりの考えに合った投信を選ぶことが大切です。

野水 瑛介

野水 瑛介

マネックス・セゾン・バンガード投資顧問 取締役兼営業部長

慶応義塾大学経済学部卒業後、JPモルガン・アセット・マネジメントに入社。銀行や証券会社を担当する投資信託営業に従事。その後ロンドンオフィスに駐在しジャパンデスクとして東京オフィスとのリエゾン業務を担当。帰国後、当時最年少でチームマネージャーに就任。2016年2月にマネックス・セゾン・バンガード投資顧問に参画。「ゴールベースアプローチ」に基づき、「資産運用のあたりまえをあたりまえに」するべく、執筆や講演活動を展開中。