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夏はやっぱりビアガーデン…ではなく、ジャズフェスはいかが?

2017/07/14

渡部 晋也

舞台写真家、音楽ライター

渡部 晋也

ジャズから中南米やハワイの音楽。さらに日本の伝統音楽まで幅…

音楽を愛する心がにじみ出る、そんな2つのフェスをご紹介

メリハリのある春夏秋冬は世界に誇るべき日本の魅力の一つ。その中でも一番ご陽気な夏は、フェスティバルの季節だ。サラリーマンにとっても長めの休みが取りやすい時期だから、それを利用して毎年郊外の音楽フェスに参加している人も多いだろう。

 

もちろん目立つのは大規模なロックフェスだが、この季節はジャズフェスの開催も数多い。かつては来日するジャズメンをずらりと揃えた大規模フェスが後を連ねていたが、景気の悪化に伴って次々撤退。なんだか寂しい話のようだが、逆に心底音楽が好きな有志の手によるフェスティバルは着実に回を重ねている。きっと内情は大変なのだろうと思うが、採算バランスよりも音楽への愛情を優先する心意気には大いにエールを送りたい。そんなわけで、数ある夏のジャズフェスのなかから、二つのフェスをご紹介したい。

南郷サマージャズフェスティバル/7月29日(土) 青森県八戸市 カッコーの森エコーランド

現在は青森県八戸市の一部となっている旧南郷村で、地域振興を目的に1990年から開催されているフェスティバル。運営には行政も関わってはいるが、主体は有志による実行委員会がおこなっている。

 

今年のラインナップを見てみると、最初に出演する地元のスクールバンドに、マンハッタン・ジャズ・ クインテットで活躍したピアニスト、デヴィッド・マシューズがゲスト参加。続いて地元八戸が産んだ人気トランペッター、類家心平のセクステット(六重奏団)。そして人気上昇中のヴォーカリスト紗里のカルテット(四重奏団)の後に、ラテン・ジャズの日本代表、熱帯ジャズ楽団がドドッと登場。フェスのトリはなんと日本ジャズ界の最高峰、渡辺貞夫グループ。 

 

どうです?何とも豪華なプログラムではないですか。まさに第一線が揃っているから恐れ入る。そしてチケット代も恐ろしく良心的だからありがたい。

しかしこのフェスの楽しさは豪華な出演者だけではない。会場のカッコーの森エコーランドは八戸市街から車で40分ほどかかり、お世辞にも交通の便がいいところだとはいえない。しかし逆にいえばそこは大自然のど真ん中。日頃の街暮らしでは味わえない鮮烈な空気の中でビールをあおり、地元で採れた冷やしトマトでもかじればそれだけでやってきた甲斐があろうというもの。さらに日程の余裕があるなら、ここを起点に東北の祭りを巡るのもいいだろう。

http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/27,102299,91,475,html

すみだストリートジャズフェスティバル/8月18日(金)〜20日(日) 墨田区錦糸町、両国、スカイツリー周辺など

続いてご紹介するすみだストリートジャズフェスティバルは、東京は隅田川の東側、錦糸町・両国エリアで開催されるフェスで、今年で8回目の開催。何より驚かされるのは出演するアーティストの数。昨年は2日間でプロ、アマ合わせて398組のバンドが参加したという。そしてさらに驚くべきが、エリアのあちらこちらに用意された40を越える会場のライブが全て無料だと言うこと。

 

「無料?どうせアマチュアかまだまだ売れない若手ばかりだろう」などといってはいけない。日本を代表するヴォーカリストの一人、伊藤君子やこの連載でもご紹介したTRI4TH。さらにゴダイゴのヴォーカルで一世を風靡したタケカワユキデと女性サックスプレイヤーの小林香織によるユニット。そして先にご紹介した南郷ジャズにも出演する類家心平のユニット。さらにさらに、独自の世界観を示すシアターブルックなどジャズの枠を越えた出演者も参加している。

これはさぞかし大きなスポンサーがついているのだろうと思ったら、もともと地元に暮らす有志が、地域の活性化のために始めた事業で、運営費は地元企業からの協賛金がほとんどで、巨大企業のスポンサードはおろか、行政からの助成も受けていないという。なんという潔さだろう。さらにフェスに欠かせない屋台はもちろん、氷の彫刻家によるライブパフォーマンスや、子供向けのスタンプラリーなど楽しげな企画が多数用意されている。

 

音楽を目当てに出かけるのもいいが、子供向けの企画もあるので、子供と一緒に出かけるのもいい。またちょっと趣向を変えて運営を担っているボランティアに参加してみるのも楽しいだろう。きっといつもとはちょっと違った夏が楽しめることだろう。

http://sumida-jazz.jp/sj/

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