iDeCoを活用して資産形成の王道の実践を!

自分の身は自分で守る時代に

日本の少子化は着実に進んでいます。昨年に生まれた子どもたちはとうとう100万人を切りました。いま20歳の人たちはだいたい120万人前後はいますから、20年でざっと2割近く減ったことになります。そうなると、年金制度を「支える人」と「もらう人」のバランスはますます持続困難になっていくでしょう。言い換えれば、自分の老後のことは自分で面倒を見る必要があるということです。国や企業がきっと何とかしてくれるというマインドセットは変えていかなければなりません。

 

国としても自分の身は自分で守るという流れを醸成するために、個人型確定拠出年金=iDeCo(イデコ)を2017年1月からスタートさせました。iDeCoは、企業年金がある会社員や公務員、専業主婦(夫)も利用できるようになり、対象者が大幅に増えました。要するに資産形成しなければならない国民全員が対象なのです。

iDeCoとは

年金制度の分類はさまざまありますが、「確定拠出年金」と「確定給付年金」という分け方があります。確定拠出年金とは、毎月の拠出金額(積立金額)が決まっており、老後の給付金額については資産運用の成果次第で異なる仕組みです。運用がうまくいけば予想より多くの給付金をもらうことができますが、運用に失敗した場合は逆に想定外に少ない給付金となります。いわば、自己責任型の年金なのです。一方、確定給付年金では老後の給付金額が確定します。確定給付年金も運用結果次第では、給付金額が上振れたり下振れたりしますが、企業側がブレ幅の差額分を補てんするので給付金額を確定(安定)させることができるのです。しかし、確定給付年金は企業には大きな負担になるため、年金の主流は確定拠出年金になっています。

 

その確定拠出年金には「個人型」と「企業型」があります。個人型の確定拠出年金の愛称が「iDeCo」なのです。個人型とは、自分の意思で入る任意の年金という意味で、自分の老後に自分自身で備える制度です。なお、企業型は会社の退職金制度です。iDeCoの加入者は月々の掛金を積み立て、iDeCoの対象となる金融商品を自分で選択して運用することで、60歳以降に年金(分割受け取り)または一時金(一括受け取り)などで給付されます。iDeCoは、国民の資産形成を応援する目的で設計された制度なので、60歳になるまで引き出すことはできません。しかし税制上の大きなメリットがあります。掛金は所得控除の対象となり、運用益にも税はかかりません。さらに給付金を受け取るときも税制優遇措置を受けられます。

投機ではなく資産形成を

「投資」という言葉を聞くと、「何を買えば短期的に儲かるのか?」あるいは「いつ買えばいいか?いつ売ればいいか?」という質問が思い浮かぶかもしれません。日本では、株式のデイトレード、FX取引、ダブルブル/ベア型投信、ビットコイン(仮想通貨)取引などが投資と思われている節があります。しかし、これらは投資というよりも投機あるいはギャンブルの要素が強いのではないでしょうか。

 

趣味としてやる分には何の問題もありませんし、短期的に利益が得られれば楽しいとも思いますが、老後資金に備えるための長期資産形成には向きません。長期資産形成はもっと地道なものです。ポイントは、(1)長期、(2)積立、(3)低コスト、(4)資産分散の4つです。iDeCoを活用すると、60歳まで引き出すことができず、毎月積立投資なので、(1)と(2)の条件を満たしています。さらに、通常は儲け(配当金や値上がり益等)に対して約20%の税金がかかりますが、iDeCoではこの税金がかからないのでコストを節約できます。つまり(3)の条件を満たします。iDeCoで選択する金融商品を、低コストで世界に分散投資するバランス型のインデックス投信にすれば(3)と(4)を同時に満たすことができます。このように、iDeCoで、バランス型のインデックス投信を選択すれば、「(1)長期」、「(2)積立」、「(3)低コスト」、「(4)資産分散」の4条件を全て満たした資産形成の王道を簡単に実施することができます。

野水 瑛介

野水 瑛介

マネックス・セゾン・バンガード投資顧問 取締役兼営業部長

慶応義塾大学経済学部卒業後、JPモルガン・アセット・マネジメントに入社。銀行や証券会社を担当する投資信託営業に従事。その後ロンドンオフィスに駐在しジャパンデスクとして東京オフィスとのリエゾン業務を担当。帰国後、当時最年少でチームマネージャーに就任。2016年2月にマネックス・セゾン・バンガード投資顧問に参画。「ゴールベースアプローチ」に基づき、「資産運用のあたりまえをあたりまえに」するべく、執筆や講演活動を展開中。