
中高年男性が最も幸せを感じていない、日本と言う国。
先日私は、慶応大学の日吉キャンパスに行ってまいりました。「女社長の乳癌日記」でお世話になっているウートピという媒体の企画で、「幸せ学」を研究されている前野隆司教授と対談するためにです。
ウートピ担当編集者である堀池さんの、「乳癌になっても幸せそうな川崎さんをプロに解明していただきたい!」という有難きお申し出に応えて、新種の生物面でのこのこ出陣しましたが、結果、私にとっては目から鱗が剥がれまくる、貴重な一日となったのでした。
そもそも私が乳癌になり、全摘出しても落ち込んだり塞いだりしなかったのは、
1. 忙しすぎてそんな時間が無いから。
2. 図々しいから。
3. 馬鹿だから。
が、3大理由だと自己認識しておったのです。
ですから、「幸せのサイエンス」の一つのデータとして貢献できる自信は全くなかったのですが、前野教授は私の症例を「研究結果通り!」と喜んで?くださいました。その時の様子はウートピで後日紹介させていただきますが、「幸せは作れる」というお言葉に感銘を受け、希望を見出した私は、帰宅後早速前野教授の書かれた本を読んだのでした。
『実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』(PHP新書)
ポジティブ心理学とは、それまで臨床心理学が心の病に対処するためのものだったのに対して「どうすればもっと幸せになれるのか?」を追求する分野だそうです。
最初は個人的興味で読み進めましたが、日本で一番幸せそうに見えない世代性別と言えば、失礼を重々承知で書けば「中高年男性」です。まさに40’s lifeな皆様にうってつけの本だと私は音立てて膝を打ったものでした。
実際に、アメリカのサイエンス誌「PANS」によれば、40代50代の幸せ度が人生で最も低く、日本においては自殺者数も中高年男性が未だ牽引しています。また、世界でトップクラスに「幸せ指数の男女差」があるのも見逃せません。要は、女性は幸せ指数が高いのに、男性は幸せを感じていない国、って言う事です。
日本で「男女の幸せ度」に大きな違いがある原因は「つながりが強いかどうかではないか。」と著者は分析しています。男性の方が「金、モノ、地位」などの長続きしない幸せである「地位財」にこだわり、それを得ようと日々ライバルと戦わなければなりません。それに対して多くの女性は、長期的な幸せをもたらす「非地位財」(良い環境、健康、心の幸せ)を大切にして周囲と仲良く生きようとするから幸せなのかもしれません。
「幸せを感じられる人」は、生産性が高く、人間関係も上手く行き、長生きという結果も出ているそうで、何より現代社会に生きていたら避けられない「ストレス」に耐性ができるというのが何とも魅力的です。未だ働き盛りの我々は全部手に入れたい所であります。
そこで、「日本人のポジティブ心理学」と題して、元々は理系でロボットの研究をしていたという前野教授は、幸せの条件を科学的に分析。その結果解明された、幸せを感じる為の4つの因子が紹介されています。
第一因子:「やってみよう!」因子(自己実現と成功の因子)
第二因子:「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
第三因子:「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
第四因子:「ありのままに!」因子(独立とあなたらしさの因子)
この章を読んで私は驚きました。どれも、ある私の先輩(大成功しいている経営者)の口癖だからです。彼にLINEで相談すると、上記4因子がそのまんま「やってみよう!」と返ってきます。彼は家庭も友人関係も円満で、いつ会っても幸せそうな殿方なもので、「彼が万事うまく行く理由は幸せを感じる力だったのか!」と、私は大いに納得してしまうのでした。
「幸せを感じるって具体的にどうやって?」とお悩みの40’s lifeな皆様には、本著でいくつか紹介されているワークを実行してみる事をお勧めいたします。中でも一番簡単な、「毎晩、寝る前に今日あった良い事を3つ書き出し、それを一週間続ける。」というエクササイズは、私が女性向けカウンセリングの現場で何度も実践し、実際に効果があった方法なので是非お試しくださいませ。
我々は社会的動物なので、どうしても「成功」したら「幸せ」になれると考えてしまいます。しかし、本著を読んで逆であったと気付きました。笑うから楽しくなるのだと。幸せを感じるからこそ人生は開けるのだと。
そして、会社や家庭において影響力のある中高年男性達がこぞって幸せになったら、日本はもっと素敵な国になると思ったのでした。
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ウートピ「女社長の乳癌日記」
http://wotopi.jp/archives/cat_summary/nyugan