40男はもっと泣いていい

イライラしたジジイにならない為に

突然ですが、私は「男泣き」が好きです。

特に、中高年男性の「男泣き」を見るとぐっとくるだけじゃなく、母性にも火を付けられ、「さぁ~♪眠りなさ~い~♪」と「聖母達のララバイ」を脳内で流しちゃう程「好き」です。最愛のお母様を無くした男性がお葬式で、気力体力の限界に引退を決めた選手が会見で、「大の男が本来泣くもんじゃない」と解っていながら耐え切れずに流す涙は、私だけじゃなく、数多の老若男女が心揺さぶられる程、時にドラマティックだったりします。

 

そんな「男の涙肯定派」の私は、今では男泣きレベルを超えて、「男の普通泣き」まで好物になってしまいました。「萌えるから泣いてくれ!」というのではなく、映画や悲しいニュースなんかを観て自然に涙を流してしまう男性を目撃すると、何だかほっとして安心してしまうのです。「この人感情を出せてるんだな。」「解放されているんだな。」と。

 

そもそも男性は、「男の子が泣くんじゃありません。」と育てられてきたせいか、泣くことを含めた感情表現に乏しく、女からすると不可解極まりない、危なっかしい存在です。若い頃はそれでも良いと思うのですが、中高年以降の男性の孤独死や自殺率の高さなどを見ると、男性が「共感力」を鍛えなかったせいで、「感情の開示」をしてこなかったせいで、孤独に人生をぽっきりと折られてしまうケースがとても多いように感じます。

 

夫の死後、その鍛え抜かれた共感力を武器に、新たなコミュニティに入って新たな仲間を作ったりしながら、世界一の平均寿命を誇るおばちゃん&お婆さん達とは、その生命力に歴然とした差が存在します。

 

また、最近ニュースでも公共の場でも度々目にするのが、イライラが止まらないお爺さんたちです。彼らは赤ん坊の泣き声にイラつき、ベビーカーにイラつき、家の近所の子供たちの声に全神経を傾けてイラついております。長年耐えに耐えかねたストレスの発露が「怒り」に、それも「弱い者たちへ」向かっていくというのは、人間劇場の最終章を飾るに最も相応しくない姿ではないかと私は思うのです。

 

さて、そんな「孤独ないらいらジジイ」にならない為に、40代から備えられる事がございます。

 

●お手本は女子高生にあり

40代男性が、いらいらジジイにならない為に手本にしなければいけない存在。それは、女子高生です。彼女達を観察していると、「超キモイ!」「マジで超キモイよね!」「嬉しい♪楽しい♪大好き!」と感情を表す言葉だけでコミュニケーションを取っている事が解ります。泣きたいときは所構わず涙ぐみ、美味しい物を食べてもうんちくなどは一切語らず、「おいしーい!最高!」と喜びまくる女子高生達を目撃するたびに、「キミ達は将来、あのおばちゃんたちのようにたくましく生きていけるであろう。」と安堵し、勝手にエールを送りたくなる。対して、感情をどこかに置き忘れてきたような、まるでサイボーグみたいに無表情な中高年男性を目撃したり、奥さんと思しき女性と無言で食事している男性なんかを見かけると、彼の行く末を勝手に案じ心がざわついてしまうのです。ま、「超大きなお世話!」なんですけどね。

 

何も、職場や公の場で泣けとか、「嬉しい!」とはしゃいで見せろ、と言ってるわけではございません。あくまでもプライベートの場面で、いちいち感動したり、感動を口にしたり、感情を言語化するくせを付けると少しずつガス抜きができるし、特に、涙を流すという行為にはストレスから脳を守り鎮痛効果すらあると言われていますので、シチュエーションが許せばもっと積極的に泣いちゃいましょうよ、っていうお話です。

 

かくいう私も、女ながらにずっとサイボーグでした。

OLだった頃も、25歳で起業した後は更に、感情を出すことは「弱みを見せる事」と同義だと思っていたので、超合金のサイボーグ並みに感情を殺し続けたら、いつしかそれが私のキャラクターになってしまいました。

限界がやってきたのはいつだったか?40歳を迎えた頃にはもう制御ができず、ダムが決壊するように私生活では泣くようになりました。(まだ更年期ではないです。念のため)仕事や公の場では相変わらずのサイボーグですが、プライベートの私は、小説を読んでは泣き、映画を観ては泣き、娘が一生懸命踊っている姿を見て涙ぐみ、友人の出産に感動して嬉し泣く、すっかり涙もろいおばちゃんです。そして、今ではそれが何とも心地よい。

 

ヘミングウエイの本の題名じゃないけれど、

「何を見ても何かを思い出す。」

からだと思うのです。

 

40年以上生きてしまうと、どんなに感情に蓋をしていたとしても、既に知ってしまっています。

人生が理不尽である事。自分が取るに足らないちっぽけな存在である事。大切な人を亡くしたことも一度や二度じゃなく、どうしようもない喪失感、悲しみや恐怖や嫉妬心などの、ありとあらゆるマイナスな感情も経験済みです。それでも人の情や優しさに助けられ、懸命に生きている人に心を打たれ、愛する人に出会えたりして、人生はそんなに悪いものじゃない、ということも同時に。

 

何を見ても、過去の切ない記憶の何かに関連付けられる程、私達はもうすでにたくさん経験してしまっている訳です。ですから、そっと蓋をずらしてあげるだけ、抗わないだけで大丈夫。もう、「男らしい」なんて女性への形容詞としてしか残らないんじゃないかという勢いで世の中が変わっているのですから、我慢するだけ無意味です。メンタルマネージメントができる、自分の感情を開示できる男性の方が、しなやかに強くて逆にマッチョであると私は言いたいのであります。

 

今更奥さんや彼女の前では無理!というシャイな殿方には、スナックのママ、女友達(同世代もしくは上の)、プロのカウンセラーをお相手に、先ずは開示する練習をしてみてはいかがでしょうか?

 

将来、例えばリタイアした後も、共感力や感動力のある男性は、「理性的で絶対に泣かない男性」より、パートナーにも周囲にも愛される存在になっていることでしょう。

そして、その最終章は、決して孤独では無い筈です。

川崎貴子

川崎貴子

リントス株式会社代表取締役

リントス株式会社代表取締役。1997年に女性に特化した人材コンサルティング会社ジョヤンテを設立後、1万人を超える女性をフォローしてきた。「女性マネージメントのプロ」との異名を取る。メディア取材執筆多数。婚活結社「魔女のサバト」、共働き推奨 婚活サイト「キャリ婚」(https://carricon.jp 男性完全無料)主宰。 著書に『我がおっぱいに未練なし』(https://www.amazon.co.jp/dp/4479783997 大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(http://www.amazon.co.jp/dp/4584136335 ベストセラーズ)、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(https://www.amazon.co.jp/dp/4062729458 講談社) 、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(https://www.amazon.co.jp/dp/4862804829 総合法令出版)、『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(http://www.amazon.co.jp/dp/447979493X 大和書房)、『上司の頭はまる見え。』(http://www.amazon.co.jp/dp/476319707X サンマーク出版)がある。ブログ「酒と泪と女と女」など連載も多数。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザー。