株価高騰、いつが買い時なのか(前半)

バブルが弾けて以来の高値、これはバブルの再来か?

いまようやく「半値戻し」

11月7日の日経平均株価の終値は2万2,937円でした。これは1992年1月の2万3,113円以来、実に約26年ぶりに2万3,000円の大台に迫る勢いでした。また、1996年6月に付けたバブル崩壊後の戻り高値(2万2,666円)も約21年ぶりに更新しました。「戻り高値」とは、下がった株価が上昇し、再び下落した時の高値のことです。とにかく日経平均株価は長いこと低迷していました。1992年2月に当時の経済企画庁(現・内閣府)がバブル景気が終結したと公式に発表しましたが、当時はそのうちまた景気は持ち直すだろうと楽観的に捉えていた風潮が強かったと言います。誰もその後20年以上も失われた時間がやってくるとは夢にも思っていなかったでしょう。

 

日経平均株価が力強く上昇する中、3万円台という数字、そして1989年12月末に付けた史上最高値3万8,915円も少しずつ意識されるようになってきました。今の株価水準は、2009年3月10日に付けたバブル崩壊後の最安値7,054円から見ると、戻りのおよそ中間点に当たります。ずいぶんと順調に上昇しているように見えますが、実はまだ半分しか戻していないのです。「半値戻しは全値戻し」という相場格言があります。大きく下げた値幅に対して半分まで戻してくれば、元の値段まで戻っていく上昇力を持っていると判断できる、という意味です。今回の株価上昇は、今までと何かが違うというポジティブな空気感、期待感のようなものがあります。

新たなバブルの始まりなのだろうか

足元で「これはバブルなのではないか」という懸念もちらほら出始めています。約26年ぶりの高値という言葉を何度も見聞きし、実際に極めて順調な株価上昇を目の当たりにしていると、そういう気持ちになるのも理解できます。数十年にわたって低調だった日本株ならなおさらです。しかし、株価はその高低だけ見て判断しても仕方ありません。約26年ぶりの高値圏だからと言って、もうこれ以上株価上昇が見込めないということにはなりません。「実体」が伴った、あるいは「裏付け」がある株価上昇なのかということが重要です。

 

日本の上場企業はしっかり利益を出しており、今後も安定して増益基調を維持するだろうという予想があります。また、株価が割安か割高かの判断材料の1つになるPER(株価収益率)という指標を見ると、若干の過熱感があるアメリカ株などとは異なり、まだまだ割安の水準で推移しています。こうしたことから日経平均株価が数年中に3万円を突破し、歴史上の最高値である3万8,915円を超える可能性も十分あると考えることもできます。

 

日本株だけを見ていた人には想像できないかもしれませんが、実はアメリカ株をはじめとした多くの先進国株は史上最高値を更新し続けています。株価は将来の利益成長を予想したものですから、実体に裏打ちされて成長するのだという期待感があれば当たり前の現象です。むしろ歴史上の最高値を更新できていなかった日本株がむしろ世界の株式市場から取り残されてきたとも言えます。

バブルの最中にいれば気がつかない

それでも「バブルなのではないか」という懸念は消えません。相場が上昇しているとき、様々な理由をつけて「this time is different(今回は違う)」とよく言われます。しかし歴史を紐解けば、その言葉がいかにいい加減な言葉なのかが分かります。

 

バブルというものは、その真只中にいる時には気が付かず、崩壊して初めてそれがバブルだったと分かるものです。17世紀のオランダのチューリップ・バブルをはじめ、土地神話に支えられた1980年代後半の日本のバブル、インターネットという新たなテクノロジーの登場に沸いた1990年代後半のITバブル、リーマンショックへと繋がったアメリカの2000年代の住宅バブル、いずれのバブルも崩壊した後にバブルとして名付けられました。こうしたバブルを事前に予見できた専門家は果たしてどれだけいたでしょうか。

 

永続するものはなく、いつかは崩壊の日を迎えると考えた方が自然です。相場格言に「山高ければ谷深し」というのがあります。上げ幅が大きいときほど、下げ幅もきついという意味です。たまたまかもしれませんが、この数十年は「7」が付く年に大きなイベントが発生しています。1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライムローンショック(これが2008年のリーマンショックにつながりました)です。2017年も残りわずかですが、マグマは思わぬ形で溜まっているのかもしれません。そして、予想外の形で噴出する可能性は捨てきれません。

 

そんなことを考えると、今から株を買って利益を出せるのかと不安になってしまいます。いったいいつから投資を始めたらいいのでしょうか?来月のコラム(後半)では、投資を始めたいけれど、初めの一歩を踏み出せない方へ、投資のはじめどきについて書きたいと思います。

野水 瑛介

野水 瑛介

マネックス・セゾン・バンガード投資顧問 取締役兼営業部長

慶応義塾大学経済学部卒業後、JPモルガン・アセット・マネジメントに入社。銀行や証券会社を担当する投資信託営業に従事。その後ロンドンオフィスに駐在しジャパンデスクとして東京オフィスとのリエゾン業務を担当。帰国後、当時最年少でチームマネージャーに就任。2016年2月にマネックス・セゾン・バンガード投資顧問に参画。「ゴールベースアプローチ」に基づき、「資産運用のあたりまえをあたりまえに」するべく、執筆や講演活動を展開中。