2019.05.09

ビジネス
【後編】2019年新卒の「育成マニュアル」!?指導法・褒め方がわからないミドル男性必見

指導の仕方がわからない――
相手を褒めるのが苦手――

などなど。
「新卒とのコミュニケーションに苦手意識を感じている」と言う40代の方も多いのではないでしょうか。

素早く業務を覚えてもらい仕事に慣れてもらうには、世代の特徴や相手のタイプを理解して、それに合わせた指導や褒め方を実践する必要があります。

今回は、新卒社員の特徴や注意すべきタイプ、そしてより良い指導法や褒め方について、コミュニケーションやストレスマネジメントに詳しい大野萌子さんに聞きました。

(以下は大野さんご執筆内容です)

大野萌子

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

デジタル機器普及の影響?新卒世代が持つ3つの特徴

新卒世代は物心がついた頃から、スマホやパソコンなどのデジタル機器ですぐに情報が得られる環境で育ってきました。そういった成長背景が要因で、ミドル世代と考え方や感じ方にさまざまな違いがあると言われています。

ここでは、そんなデジタル世代=新卒世代の特徴についてご紹介します。

「考えること」が苦手

学生時代からネットに親しんできた新卒世代は、その場ですぐに回答を得られることに慣れています。そのため「時間をかけて考えるのが苦手」で、すぐに結果を求めがち。
「答えがないものに対して考え抜く」ことができないので、仕事をお願いする際には細かくアドバイスしながら並走し、「考える習慣」を少しずつ身につけてもらう必要があります。

想定外が極端に苦手

「想定外が極端に苦手」というのも新卒世代の特徴のひとつ。
何をするにしても、事前にインターネット検索をしてある程度予想をつけてから動きはじめるため、想定外の事案を前にすると動きが止まってしまう傾向があるようです。
イレギュラーな案件など「相手が想定していなかった仕事」をふるときは、仕事の進め方やスケジュールを細かく伝えるなど、仕事の見通しがつくように工夫する必要があるでしょう。

電話が苦手

「電話が苦手」というのも新卒世代の特徴。
学生時代からSNSやメールでコミュニケーションをとってきた新卒世代は、自分の好きなタイミングでゆっくりと言葉を選んで意思伝達することに慣れています。
そのため、口頭で瞬時に反応しなければならないコミュニケーションが苦手で、特に電話でのやりとりを避けがち。伝える内容をテキスト化するなど、電話に慣れてもらう指導が必要です。

取扱注意な新卒「3つのタイプ」

上記でご紹介した特徴に加えて、個々の性格や価値観などが絡むと、コミュニケーションが成立せず「どう指導すればわからない」という状況に陥ります。中でも特に取扱いに注意してほしいのが、以下の3つのタイプです。

1.自信がなく自己肯定感が低いタイプ

自己肯定感が低いタイプは、仕事の進め方や内容を細かく確認しないと不安になる傾向があり、上司に何度も指示を仰ぎます。

わからないことを聞いてくるのは良いのですが、上司がすべてを受け入れていると、相談やフォローで時間を奪われることになってしまいます。また、このタイプは「考えることや想定外が苦手」で、新卒世代の特徴でご紹介した部分も併せ持っています。

2.知識は豊富だが、実際には動けないタイプ

このタイプは、知識量は多いので頼れる部分もあるのですが、経験が少ないため、実際は動けないことが多い特徴があります。しかし、動いていない自覚がないために「認められない」「相手が悪い」と他責傾向になりがちです。

知識を盾に文句は言うものの、失敗を恐れて自分からは行動しないことがほとんど。ビッグマウスに振り回されることがあるので要注意です。

3.逃げ腰で楽をしたいタイプ

常に”待ち”の姿勢が見られ、指示待ちになってしまいがちなのがこのタイプ。
時間をかけて考えることや自分から行動することが苦手で、面倒やリスクを極力抑えたいので、指示に対しても安易に「できません」と答えます。

このタイプは、積極的な指導が難しく、ちょっと強いことを言えば、パワハラだと訴えられる可能性があるので要注意です。また、困難を避け、目立たずにやり過ごせたらという「事なかれ主義」のために、自主的に動いてもらうのが困難です。

要注意な3つのタイプを攻略!タイプ別「指導法と褒め方」のポイント

1日に何度も質問されて自分の時間がなくなる――
不満は多いのに、自分では行動しようとしない――
仕事をふろうとしても「できません」ばかりで指導にならない――

このような新卒社員を指導する際は、相手の傾向に合わせて指導方法や関わり方を考える必要があります。また、指導の中に適度に「褒め」を織り交ぜ、部下のモチベーションを維持することも重要です。
ここでは、新卒の「指導法と褒め方」について、タイプ別にご紹介します。

自信がなく自己肯定感が低いタイプ

  • ・指導法
  • 「自信がなく自己肯定感が低いタイプ」には、指導内容をストレートかつ具体的に伝えることが大切です。「もう少しいい感じに」など、曖昧な表現を使うとますます不安になり、かえって質問の量が増えてしまうことに。
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  • 「○○に問題がある。」「○○をしてください。」など、やってほしいことを具体的に伝えることで質問の回数を減らすことができます。多忙なときは指導が雑になりがちですが、曖昧な言葉を使った指導はこのタイプには逆効果です。
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  • ・褒め方
  • 指導法と同様に、褒めるときにも「具体的」を意識すると良いでしょう。
  • 自己肯定感が低いため、「良かったよ」など曖昧な褒め方では安心できません。「資料の根拠がわかりやすくて良かった」など、何に対して評価しているのかを明確に伝えることで、少しずつ自分への自信を芽生えさせることができます。

知識は豊富だが、実際には動けないタイプ

  • ・指導法
  • 口だけで行動しない相手に対して、「結果を出してから言おう」「まずは動いてみて」と、見放したくなることがあるかもしれません。しかし、このような伝え方は逆効果。余計に不満を溜め込み、ふさぎがちになってしまう可能性があります。
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  • このタイプへの指導で重要なのは、行動を導くように相手に働きかけること。「君の言うことを実践するためにも、こういう動きを試してみたら?」「〇〇君は、それを実現するために何が必要だと思う?」など、具体的な動き方を伝えたり、どう動くべきかを自分で考えさせたり、相手が動きやすい状態を作ることが大切です。
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  • ・褒め方
  • 単に、「知識」だけに注目して「良く知ってるね」などと褒めると、嫌みと捉えられてしまうこともあります。頭で理解していることと、実際にやることは違うと理解してもらうことが大切です。
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  • まずは、行動を促すように働きかけ、それを実践できているかを把握しましょう。少しでも伝えたことが実践できていれば、「良い動きができている、その調子でどんどん行動を増やしていこう」など、実践した内容を評価することで、行動へのモチベーションを高めることができます。

逃げ腰で楽をしたいタイプ

  • ・指導法
  • 「仕事に向かうスタンスが悪い」と、思わず叱ってやりたくなるこのタイプ。
  • しかし、安易に叱ってしまったり、責任を匂わせるような言動をとると余計に頑なになってしまう可能性があります。また、一時的に行動を見直したとしても「できるだけ楽をしたい」という姿勢は変わりません。
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  • このタイプには、仕事の意義や全体像を伝え、意識を変える働きかけを根気強く続けましょう。また、仕事を楽しいと感じてもらうために、スモールステップで(目標を細分化し、小さな成功体験を積み重ねながら仕事を覚えていく方法)で指導することが重要です。
  •  
  • ・褒め方
  • このタイプを褒めるときのコツは、会社・チーム・仕事への貢献度を伝えること。
  • 例えば、「おかげで助かった」など、相手の貢献度を感謝の言葉とともに伝えるようにすると効果的。「人の役に立っている」と実感させることが、仕事への積極性につながります。

コミュニケーションの行き違いを防ぐ「相互理解」がより良い関係に導く

指導は、相手のことを理解できないとうまくいきません。まずは、指導する相手の特徴を知り「どのような伝え方が最適か」を考えましょう。

そのためには、相手を知ろうと積極的に関わっていくことが重要です。想像や決めつけで人間性を判断してしまうと、正確に相手を理解できず、どこかで必ずコミュニケーションの行き違いが発生します。一度コミュニケーションの行き違いが発生すると、お互いに関わることを避けるため、指導はどんどんと難しくなってしまうでしょう。

指導に苦手意識があるミドル世代の方々は、定期的に対話をする機会を作るなど、積極的に新卒世代と関わってみてください。今回のアドバイスが、より良い関係性を育む一助となることを願っています。

 

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大野萌子

大野萌子

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。著書に『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。 URL:https://japan-mental-up.jimdo.com/