地盤は、家の最も重要なパーツです。【初めての住活004】

あーあ。

 

わたしが40代で住活した2005年、あの耐震強度偽装事件は起こりました。あれから10年後にあたる2015年、ふたたび日本の安全神話を根底から覆す大事件が起こりました。そう、横浜の分譲マンションに端を発した、杭打ちデータ偽装問題です。

 

まさしく「杭の長さは、悔いの長さ」です。たくさんの人生コースを変えてしまう悲劇が、また発生しました。

 

はー。

 

わたしたちの国は、わたしたちの建設業界は、そしてわたしたち生活者は、10年前の耐震強度偽装事件から、いったい何を学びPDCAしたのでしょうか。

ぜんぜんまったくちっともナッシング、これっぽっちも学習していなかったのかもしれません。

 

そう。

 

住活の大原則を思い出しましょう。まずは、家族や家計をじぶんの手で守ること。そして、見えないところほど、しっかり見るということを。

 

というわけで、今回の主題を展開します。

 

 

あとで取り替えにくいものほど、重要なパーツである。この視点に立てば家の最も重要なパーツは地盤です。

 

首都圏で一戸建てや分譲マンションを買おうとすれば、利息を含め数千万円以上かかります。生涯に獲得する賃金の数分の一の買い物。実印を握る手が汗ばむような局面になって、わたしたちは住まいに関する体系的な教育をいっさい受けていないことに気づきます。

地盤、構造、素材、法律、資金。いきあたりばったりに勉強しても多くの場合、断片的な知識にふりまわされ混乱し、疲弊します。もちろん、この文章を書いているわたしもその一人でした。本を読み、専門家の話を聞けば聞くほど、家族と意見が食い違い、空回りしました。構造や地盤の重要さを力説しても、まったく噛み合いません。連日の夫婦ゲンカ。何とか妥協できる家を見つけるため、キャッチフレーズをつくりました。「ロクな家はない。マシな家はある」。2005年夏のことでした。

 

マシな家を手に入れる方法。その一つが中古住宅の一戸建てだと考えました。もっと具体的に洞察を深めましょう。不同沈下、シックハウス、雨漏り、シロアリ。そんな四大疾病のない家。絶対避けたかったのは不同沈下です。構造や家計に致命的なダメージを与えます。不同沈下の原因になる「地盤」。生活者があまり気にかけない「地盤」。取り替え不可能なパーツ「地盤」。どんなに力説しても足りることはありません。賃貸だろうが、持ち家だろうが、家の最も重要なパーツは地盤です。

【住活の基本=地盤を知る1】

書店、図書館、都庁などに行けば多くの情報が得られます。まずは都庁で資料の閲覧。「東京直下地震の液状化予想図」を見つけました。資料も購入できました。『地震に関する地域危険度測定調査(第5回)』(東京都都市計画局)。地元の図書館では古い地図のコピーがとれました。さらに「関東震災における被害状況」という資料を発見。物件の候補地をしぼる重要なデータとなりました。日比谷図書館では、『新編 日本の活断層』(活断層研究会編/東京大学出版会)のコピーを入手。書店では、『住宅の地盤のことがわかる本』(中村和彦著・高安正道監修/住宅新報社)、『知らないと損をする住宅地盤』(ジオテック株式会社住宅地盤相談室編/麻布出版)などを購入。『東京大震災は明日起こる』(川西勝著/中公新書ラクレ)の73ページには、「東京の地盤構造」と題して大地の断面図が掲載されています。慄然としました。そして恵比須のGという地盤のコンサルタント会社を訪れたり、建築家にヒアリング。自分なりにモノサシをつくってゆきました。

【住活の基本=地盤を知る2】

地名は土地のDNAです。「水」に関する地名、サンズイのつく地名などは要注意です。古い地名や土地の履歴を調べてみましょう。地盤は低地ほど悪くなります。竹や柳の自生している場所は、低地のことが多いです。

【住活の基本=地盤を知る3】

切土より、盛土がこわいです。もっとこわいのは切土と盛土にまたがって家を建てる場合です。埋め立て地は、もちろん要注意です。

【住活の基本=地盤を知る4】

地盤調査は必須です。こんどの結婚記念日に銀座の名店で寿司を食べるというプレゼントを中止しても、地盤調査しましょう。通常の一戸建てなら数万円で可能です。

【住活の基本=地盤を知る5】

絶対安全な地盤はないと思います。世界の大都市の多くはベイエリアに発達しています。つまり堆積物の上に築かれた繁栄です。東京も地盤は悪いです。ちなみに江戸の「江」にもサンズイがついています。もっと言えば、火山があちこちで口を開ける日本列島において地震の不安のない地盤なんてありません。

 

2度あることは3度ある。残念ですが、これからも悲劇は繰り返されることでしょう。だから、あなたとわたしで始めましょう。ひとりひとり、家族と家計をみずからの手で守るため、住まいの教育=住育に裏打ちされた住活をおこなうことを。

 

悲劇を繰り返さないために、わたしは繰り返し書きます。

 

地盤は、家の最も重要なパーツです。

地盤は、家の最も重要なパーツです。

地盤は、家の最も重要なパーツです。 

竹島靖

竹島靖

コピーライター・住育研究家

高知県生まれ東京都在住。引っ越し19回。 【著作】『住育のすすめ』(角川SSC新書)、『危ない「住活」』(竹書房新書)など。 【受賞】宣伝会議賞=金賞・銀賞・銅賞・入賞5点。ユーモア 広告大賞=優秀賞2点・入賞3点。毎日広告デザイン賞=優秀賞・部門賞。 【趣味】映画、読書、 音楽鑑賞、食べ歩き、旅行、温泉。 【PV】宣伝会議賞のとりかた https://www.youtube.com/watch?v=e09_4Q7Ctn8 住育ビデオ https://www.youtube.com/watch?v=p9PgJgJ9qAE