2019.08.06

ビジネス
休暇前に試したい!「歓喜の赤丸・屈辱の青丸」を使い分ける、シンプルな仕事術 【時間管理の専門家 石川和男】

初めまして。
時間管理や業務効率化に関するビジネス本を書いたり、セミナーを開催したりしている石川和男と申します。

突然ですが、みなさん。
年末年始・ゴールデンウィーク・お盆休みなど、せっかくの長期休暇中なのに、モヤモヤする、心に引っかかるものがある、心の底から楽しめない。
そんな経験をしたことはありませんか?

それはズバリ!休暇前に「優先順位の高い仕事をやり残している」からです。
「家族と過ごしていても、ゴルフをしていても、久しぶりのクラス会でも、ふと仕事のことが頭をよぎる」先延ばしの常習犯だった以前の私が、まさにそうでした

しかし、今では長期休暇の前には、優先順位の高い仕事は終わらせ、遊びに旅行に飲み会にと、全力で楽しんでいます。
なぜ仕事を先延ばしにせずに、優先順位の高い仕事を終わらせることができるようになったのか?
その方法はとてもシンプル。やることをすべてノートに書き出しただけです。

それでは、間近にせまった休みを思う存分楽しむために、仕事を効率的に終わらせるノート術についてご紹介します。

石川和男

平日は建設会社総務経理担当部長として勤務し、その他の時間を「大学講師」、「時間管理コンサルタント」、「セミナー講師」、「税理士」と、5つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家。深夜残業ばかりしていた生産性の上がらない日々に嫌気がさし、一念発起。ビジネス書やセミナー受講によりタイムマネジメントのノウハウを取得、実践することで生産性を上げて残業を減らす仕事術を確立した。自ら習得した「時間管理術」をベースに、建設会社ではプレイングマネジャー、コンサルでは時間管理をアドバイスし、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「生産性向上」や「残業ゼロ」の講師をすることで、残業しないための研究を日々続けている。「時間管理」や「勉強法」に関する書籍も多数執筆しており、誰もが働きやすくなるノウハウを分かりやすい言葉で伝える著書は、全国のビジネスパーソンに好評で、発売数日で重版となっている。 「時間管理・業務効率化」に関する情報を1日3分ユーチューブで配信中。 石川和男さんの「ビジネスパーソン・チャンネル」:https://bit.ly/2ynNoKI 

 

 

 

仕事が終わらない理由は「業務の散乱」

まずは、仕事が終わらない理由について、私の経験をもとにご紹介します。
業務内容をノートに書き出す前の私は、以下のような方法をごちゃ混ぜにして業務をまとめていました。

  • ・パソコンの両サイドに貼ったフセン
  • ・携帯電話のメモ機能
  • ・机とマットの間にはさんだメモ用紙や書類箱
  • ・メモを取らず頭で記憶する

色々なところにやることが散乱していて、自分の仕事の全体像をまったく把握できていませんでした。
結果、一体どれだけの仕事を抱えていて、どこまで終わっていて、何の仕事をいつまでにやればよいかが分からず、対応は常に後手後手。

業務量を把握できていないために、どの仕事をはじめるかを検討するために時間を使ったり、仕事の優先順位を間違えてしまったり、無駄の積み重ねで業務時間が増え、日々仕事に追われるような状態に陥っていたのです。

「見える化」による業務把握と集中力の向上が効率化のカギ

そんな「業務の散乱」状態を解消したのが、「やることをすべてノートに書き出す」というシンプルな方法です。そのままですが、私は「やることノート」と呼んでいます。

このノートの魅力は、仕事が完全に「見える化」できること。
例えば、以下のような質や量が異なる仕事をノートにまとめることで、全体像を把握できるようになり「今すべきこと・やらなくて良いこと」を冷静に判断できるようになります。その結果、担当業務を調べるのに時間をかけたり、優先順位を間違えるなど、無駄を省くことができます。

  • ・緊急な仕事
  • ・軽微な仕事
  • ・優先順位の高い仕事
  • ・人に任せていい仕事
  • ・やる必要がなくなった仕事
  • ・銀行記帳や買い物のようにまとめて行える仕事
  • ・休み明けでいい重要でも緊急でもない仕事

また、「やることノート」にはもうひとつの魅力があります。
それは、集中しやすくなること。すべての仕事をノートに書き出し、後で見返すことが習慣になれば、無駄なことを考えることなく安心して目の前の仕事に集中できます。例えば、以下のような経験をしたことがないでしょうか?

  • ・ちょっとした頼まれごとが頭から離れず、集中力が持続しなかった
  • ・業務中にそれほど重要でない他の仕事を思い出し、そちらを優先してしまった

やることをすべてノートに書き出すことで、他の仕事に注意が向かない環境を作ることができます。
私は、「帰りにハガキを投函する」「妻にお一人様1点限りのタマゴを買って帰る」など、プライベートの頼まれ事もすべてノートに書き出し、業務中に集中力が妨げられないようにしています。

作り方も書き方も使い方もいたってシンプル。「やることノート」を実践

仕事が見える化することで、業務を整理・把握できる。
やることをすべて書き出すことで頭がクリアになり、業務に集中しやすくなる。

これらの2点がやることノートを実践することで得られる主な効果です。
では、どのように仕事を書き出していくべきなのか?やることノートを活用してどのように仕事を進めるべきなのか?ここからは、より具体的な内容についてご紹介します。

35行のB5のノートに、数字と仕事を書き出す

まずは「やることノート」の作り方についてご紹介します。
作り方はいたって簡単。横罫線が35行あるB5サイズのノートを用意します。私はコクヨのキャンパスノートを使っていますが、この条件に合致すれば、ほかのノートでも問題ありません。好きなカラー・デザインのノートを選びましょう。

                                     ▲数字の記載イメージ

次に、見開き両ページに、1~35までの数字を記入していきます。数字を記入し終わったら、数字の横に仕事を書いていきましょう。もし「すべての行を埋めるほど仕事がない」というときは、無理に記入しなくても大丈夫です。自分が思うところで止めてください。

なお、見開き両ページが1日分のスペースです。もし余白が生まれても翌日の数字や仕事を書き足さないようにしてください。翌日の数字と仕事は、次のページに新しく記入しましょう。

私の場合は、空いた時間や集中力が切れたタイミングで次のページに数字を記入、翌日の業務前に仕事を書き出しています。業務終了後に、まとめて数字と翌日の仕事を記入しても良いですし、朝におこなうのもありです。好みの方法で毎日のルーティンとして、「やることノート」に数字と仕事を記入してください。

「やることノート」は、ページの左上に日付を書くことで、備忘記録や日誌の役目にもなります。また、「去年の今頃は何をやったのか?」「3年前は5日連続青〇をつけていた仕事が今年は2日でできた」など、過去の記録から自分の成長を知ることもできます。

「歓喜の赤丸、屈辱の青丸」赤ペンと青ペンで簡単タスク管理。

次に「やることノート」の使い方についてご紹介します。
こちらもとても簡単で、書き出した仕事が終わったら赤のペンで〇をつけるだけ。ノートの番号に赤ペンで〇をすることが、その仕事をやりきった証です。また、番号を書いたけど、やることがなかったという場合も赤〇をつけましょう。

一方、終わらなかった箇所は、青ペンで〇をつけます。赤〇は達成感や爽快感がありますが、青〇はやり終えられなかったところなので不快感が残ります。しかし、その感覚がいいのです。不快感を打破するためにやろうという気になるからです。私は「歓喜の赤丸、屈辱の青丸」と呼んでいます

青◯になってしまった仕事は、すべて翌日分のページに書き写してください。

「やることノート」にプラスα!業務効率を向上させる3つの方法

ここからは、「ノート」を使うことをベースに、さらに仕事の効率を高める3つの方法をお伝えします。
「やることノート」と組み合わせることで効率がさらに高まるので、ぜひ実践してください。 

午前中の「ガムシャラタイム」を有効活用せよ

「やることノート」には番号が振ってありますが、その順番で仕事を進めなければならないわけではありません。ただ、時間帯によって仕事を選ぶ必要があります。

私がおすすめするのは、起床してからランチを食べるまで……つまり午前中に、優先順位が高い仕事や難易度が高い仕事に取り組むこと。この時間帯はいわゆる仕事のゴールデンタイムで、午前中の2時間のパフォーマンスは、夜の4時間から6時間に相当すると言われています。私の体感でも、2倍以上の効果があります。

逆に言えば、午前中に、緊急性のないメールの返信や重要ではない打ち合わせに時間をとられてはいけません。しかし人は、意識しないと簡単な仕事、楽な仕事から行ってしまいます。優先順位の高い仕事が終わらない原因はここにあります。

そこで役立つのが「やることノート」です。ノートに書き出した仕事のなかから、優先順位の高い仕事、または難易度が高い仕事を選び、午前中に集中して取り組みましょう。私はこの時間を「ガムシャラタイム」と名づけています。ガムシャラタイムに、1番時間がかかりそうな大きな仕事をやってしまうのです。

私のチームでは、ガムシャラタイムを有効活用するために、以下のようなルールを決めています。

  • ・電話やお客さま対応の担当を持ち回り
  • ・重要な電話以外は取り次がない
  • ・メールには返信しない
  • ・社員同士の雑談はしない

あなたが、このようなルールを作りづらい会社に勤務しているなら、午前中は空いている会議室に移動する、または近くのカフェやコワーキングスペースに避難するのも有効な手段です。

大きな仕事は細かく砕く「アイスピック仕事術」


アイスピック仕事術とは、難易度の高い仕事を細分化することで取り組みやすくする方法
です。
「決算」という難易度の高い仕事を例に、アイスピック仕事術についてご紹介しましょう。

「決算」は経理事務の業務の中でも特に難易度が高く、やることノートに書いても、なかなか期限までは行う気になれません。屈辱の青〇で翌日に書き写し、奮起するという手もありますが、もっとも効果的なのが、仕事を細分化すること。

決算とだけ書くのではなく、以下のように細分化してノートに書き込みます。

      ▲アイスピック仕事術の書き方

このように細かく分けて書くことで、「去年の決算書のコピーぐらいできるだろう」と、コピーをすることで1に赤〇がつきます。「Aさんと一緒に現金のチェックをしよう」と、Aさんに協力してもらい終わったら2に赤〇をつけます。「Bさんが銀行に行くと言っていたから、ついでに残高証明書を取って来てもらおう」と、終わったら3に赤〇をつけます。このように細分化することで、全てが終わらなくても、少しずつ終えることができるのです。

どんな大きな仕事であっても、小さな仕事の集合でしかありません
必ず細分化することができます。大きな氷は溶けるまでに時間がかかりますが、アイスピックで細かく砕いた氷は溶けるのが早いのです。 

労力がかかる大きな仕事でも、細かく分けて、すぐ終わる仕事にすればやる気が出るはずです。
ノートに難易度の高い仕事を書き込むときは、ぜひ「アイスピック仕事術」を活用して、仕事を細分化してみてください。

言い訳を考える暇を自分に与えない。「5秒の法則」でやり終える!

アメリカのメル・ロビンスが著者で発表した「5秒の法則」をご存知でしょうか?
これは「やらなければならないことがあるとき、人は5秒後にはやらない言い訳を考えはじめる」というものです。

逆にいうと、5秒以内に行動してしまえば、脳が言い訳を思いつくヒマがありません。「やることノート」に仕事を書き込んだら、やらない言い訳を見つけてしまう前に、サッサと手をつけて片づけてしまいましょう。
このことを知ってから、私は劇的に仕事の効率が上がりました。また、意識していないだけで、言い訳をつけて後回しにしている仕事が意外と多いことにも気づきました。

たとえば、
「長文のメールを見て、面倒なので返信しないで過ごしてしまう」
「難解な書類を『ほかの仕事でいま忙しいから』と後回しにしてしまう」
「嫌な上司から判をもらわなきゃならないときに、『いまは機嫌が悪そう(本当はいつも機嫌が悪そうな顔をしている)だから』と後回しにしてしまう」
などなど、後回しにしている仕事は案外多いものです。

「5秒の法則」を意識することのもうひとつのポイントは、言い訳をしている自分に気がつけること。
すぐに仕事をはじめることができなくても「自分はいま言い訳を考えてしまっている」と自覚することで、面倒な仕事にもなんとか立ち向かえる気力が湧いてくるのです。

「やることノート」と3つのプラスαでお盆前に仕事をやりきる

やることノートを作成し、すべての仕事を書き出すと、休暇前に行わなければならない仕事、つまり優先順位の高い仕事を「見える化」できます

その仕事を、集中力の高まっている午前中にガムシャラに進めましょう。
方法はアイスピック仕事術で細分化したり、5秒の法則の罠にはまらないように意識するなど、今回ご紹介した方法をぜひ試してみてください。

それでも、もし休暇中に仕事を思いついたらどうするか?
安心してください。やることノートにサッと書いて、ノートを閉じれば、頭を空っぽにして、目の前の遊びに集中することができるでしょう。

 

企画・編集 児島宏明

石川和男

石川和男

平日は建設会社総務経理担当部長として勤務し、その他の時間を「大学講師」、「時間管理コンサルタント」、「セミナー講師」、「税理士」と、5つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家。「時間管理」や「勉強法」に関する書籍も多数執筆しており、誰もが働きやすくなるノウハウを分かりやすい言葉で伝える著書は、全国のビジネスパーソンに好評で発売数日で重版となっている。 「時間管理・業務効率化」に関する情報を1日3分ユーチューブで配信中。 石川和男さんの「ビジネスパーソン・チャンネル」:https://bit.ly/2ynNoKI