
ビジネス現場で周囲からの期待が大きくなる40代男性。高度な仕事内容が求められ、上司と部下との板挟みに悩んだり、プライベートでは家族や友人関係でトラブルが起きたり……当然ストレスも増えてきます。
ストレスというと一般的には悪いイメージがあると思いますが、40代男性が感じるストレスは、必ずしも悪いものだけではありません。適度なストレスは良い緊張感を生み、心地よい興奮・刺激を与えてくれ、仕事がはかどるきっかけにもなります。
そこで今回は、ストレスの種類と悪いストレスを良いストレスに変える方法をご紹介します。
心や身体への刺激に対する反応、そもそもストレスとは?

いろんな病気や不調の原因とされるストレス。その意味は「外からの刺激に対する生体反応」。医学・心理学では、心や身体への刺激を「ストレッサー」と呼び、それに適応して生じた心・身体・行動上の反応を「ストレス反応」と言います。
嫌な出来事だけでなく、結婚・引っ越し・転職・昇進などプラスの出来事でも人間はストレスを感じます。まずはストレスに気づき、それが良いストレスか、悪いストレスか考えてみることが大事です。
3種類のストレス:良いストレス・悪いストレス・中立なストレス

やる気をくれる「良いストレス」
例:入浴・快眠・いい食事・達成感など
夢・目標・良い人間関係・やりがいのある仕事・適切な生活習慣がもたらすのは、やる気をくれる良いストレスです。ゴールに向けて仕事に打ち込みクリアしたときの達成感や充足感も、心身にプラスの効果をもたらします。
多くの疾患につながる恐れのある「悪いストレス」
例:厳寒酷暑・不眠・過食・破産など
将来への不安や人間関係の不和・疲労・嫌な緊張感は悪いストレスをもたらします。ストレス解消に暴飲暴食するのは良くありません。いずれは心身症や多くの疾患の発症につながる恐れもあります。
良くも悪くもどちらにもなり得る「中立なストレス」
例:仕事・ノルマ・運動など
良い方にも悪い方にも、どちらにもなり得るストレスです。ノルマが自分を奮い立たせてくれるケースもあれば、越えるべき壁のように重くのしかかり不安になるケースもあり得ます。状況やタイミング、心のとらえ方次第で変わってくると言えるでしょう。
悪いストレスを良いストレスに変換する方法

現代社会は、ストレスを与える「ストレッサー」が多くあります。避けるのが難しければ、なるべく悪いストレスを良いストレスに変えるコントロールが必要です。すぐに実践できる、ストレス対処法は以下の通り。
人間関係を整理する
「自分にとって本当に大事な人は誰か?」を整理し、人間関係を俯瞰して見てみましょう。紙に書き出して重要度でグループ分けしてみるのもひとつです。同僚の一言が気になって仕方がなかったとしても、実はその人が自分にとってさほど重要な人でないと再認識できれば、少し楽になれるかもしれません。
小さな達成感を増やす
何から手を付けていいかわからなくて不安なときは、メールの返信やスケジュール表の更新・机の掃除など、小さな達成感を得ていくことで気持ちが前向きになります。
姿勢を良くする
腰痛、首・肩こりがあると生産性が30%下がるそうです(2013年 健康日本21推進フォーラム「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」より)。血流が悪くなるとストレスも感じやすくなるもの。仕事場では、パソコンのモニターの位置を目線の高さに合わせることで肩や首の負担を下げられます。また背筋を伸ばし、姿勢よく座ったり歩いたりすると横隔膜が上がり、呼吸が深くなってリラックスした状態につながります。
ストレッチをする
ストレッチも良いストレス変換に有効です。筋肉をゆっくり伸ばしてほぐすことで血行を良くし心身の緊張を和らげることができます。働いている最中もときどき両腕を伸ばしたり、肩を上げ下げしたり、肩の力を抜いて首を回したりするだけでも効果があります。
深呼吸のクセをつける
人間は息を吸うときに交感神経が優位の緊張状態になり、息を吐くときに副交感神経が優位のリラックスした状態になります。まずは、大きく息を吐くことから始めてみましょう。
緊張の機会を減らす
ずっと座ったままの姿勢でいると腰や肩の筋肉が緊張し悪いストレスを感じます。定期的に身体を動かす機会を作り、緊張状態を緩和させましょう。おすすめなのは、水分をこまめに摂取することです。自然とトイレに行くため立ち上がる機会が増えます。
人間は変化を感じると、それが良くも悪くもストレスになります。うまくストレスと付き合っていくために、まず職場での小さな習慣から変えていくと良いでしょう。
参考:厚生労働省 独立行政法人労働者健康福祉機構「こころの健康 気づきのヒント集」
http://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/worker/files/H25_kokoronokenko.pdf
『疲れない脳をつくる生活習慣 働く人のためのマインドフルネス講座』石川善樹(プレジデント社)