人気の街が、安全な街とは限りません。【初めての住活005】

家を選ぶことは、地盤を選ぶこと。

人間は嘘をつきます。
あなたもわたしも例外ではありません。

 

数字は嘘をつきません。
そう、住活は、まずは厳然たる事実を知ることから始めましょう。
資本主義社会において、不都合な真実は決して生活者に知らされません。
残念ですが、それが真実です。
気づきを築くことから始めましょう。
それが強固な拠り所になります。

 

約1割。
約40%。

 

今回は、こんな2つの数字を軸に主題を展開します。

 

地球上の活火山のうち、「約1割」が日本にあります。
そして、東京・横浜は世界一危険な都市です。

 

ドイツのミュンヘン再保険会社が公表した「世界大都市の自然災害リスク指数」。2003年の資料があります。東京・横浜のリスク指数は710。第2位サンフランシスコは167。つまり、なんと4倍以上という、土曜の夜はオレがヒーローさ的ぶっちぎりのワーストワンです。さらに、標高が低いほど地盤は悪いのです。津波の危険性も高まります。

 

日本の家の「約40%」は軟弱地盤に建っているといわれています。  

 

東京のベイエリアは「人が住んではいけないゾーン」と嘆く識者もいます。皮肉なことに、ウォーターフロントやリバーフロントの高層マンションが人気を集めています。3・11の甚大な被害。三陸海岸の各地には、およそ200の津波記念碑があります。そこには、先人の教訓が残されています。「此処より下に家を建てるな」。

 

世界一危険な国の、世界一危険な街の、世界一危険なエリアに住む。
正気の沙汰とは思えないのですが。

 

Xデー。大震災がきます。10年以内にくる確率は30%であり、30年以内の確率は70%。欠陥住宅や質の悪い住宅が、たくさんの人を殺すでしょう。

 

いまマイホームを買うということは、Xデーに対抗するどんな所見を持っているか表明することです。あなたは幸い、この記事をスクロールしています。
デベロッパーやハウスメーカーのマインドコントロールから目を覚ますことができます。

【地盤を選ぶ1】

最初は、わたしの住活の経験から。一般の生活者が入手できる資料からも多くのことが読み取れます。書店・図書館・都庁へ足を運びました。
まずは都庁。「東京直下地震の液状化予想図」を見つけました。資料も購入。『地震に関する地域危険度判定調査(第5回)』(東京都都市計画局)。地元の図書館では、当該地の情報をふくむ「関東震災における被害状況」という資料が見つかりました。もちろん当該地の古い地図のコピーもとりました。
日比谷図書館では、『新編 日本の活断層』(活断層研究会編/東京大学出版会)のコピーを手に入れました。
書店では、『住宅の地盤のことがわかる本』(中村和彦著・高安正道監修/住宅新報社)などを購入。『東京大震災は明日起こる』(川西勝著/中公新書ラクレ)には「東京の地盤構造」というキャプションで東京の断面図が載っていました。恐いですよ。
そして恵比寿の地盤コンサルタント会社へ足を運びました。候補地のボーリングデータを郵送してもらったこともあります。その上で建築家にヒアリングを重ねました。

【地盤を選ぶ2】

多くの地名には、土地のDNAが残っています。水に縁のある地名、サンズイのつく地名などは要注意です。山手線をチェックしてみましょう。外回りで出発。渋谷、池袋、田端、鶯谷、新橋、田町、品川、大崎、五反田など。もちろん江戸にもサンズイがついています。大阪の梅田は「埋め田」からきています。水がなければ生きられません。が、水に縁のある場所ほど地盤が悪い。ジレンマです。
逆に地盤がよいとされるのは以下です。山、丘、台、高、林など。しかし近代になってのネーミングは実体のない例もあり注意。たとえば目黒区の自由が丘。昭和に創立した「自由ヶ丘学園」が命名のルーツ。実際は低地なのです。近世のフェイクな地名に要注意。

【地盤を選ぶ3】

造成地に注意。切り土より恐いのは盛り土です。一番恐いのは切り土・盛り土にまたがった家。もちろん埋め立て地はリスクです。

【地盤を選ぶ4】

地盤調査書をチェックしましょう。もし建てるのであれば地盤調査は必須です。絶対絶対に必須です。問答無用で必須です。

【地盤を選ぶ5】

日本の家の約40%は軟弱地盤に建っているといわれています。さらに見えない活断層。いま活断層は約2000ほど発見されていますが、実際には2倍以上あるともいわれています。
絶対安全な地盤とか絶対安全な土地なんて、この日本にあるのかよ。そう思います。だからこそ、リスクはすべて見える化する。先達の教訓は生かす。最新の知見に耳を澄ます。それが、Xデーを視野に入れた住活の王道だと思います。

 

最後にこんな事実を1つ追加。
横浜の杭打ちデータ偽装。問題となったマンションの当該地は、横浜市都筑区の「池辺町」。やはりサンズイがついています。サンズイがついているから、それだけで手を出すな、ダメな土地だ、スルーしろ、というのは暴論です。しかし、サンズイのついている土地は、生活者も建設業者も慎重に対処しなくてはなりません。

 

いい家は地盤から。賃貸だろうが持ち家だろうが。

竹島靖

竹島靖

コピーライター・住育研究家

高知県生まれ東京都在住。引っ越し19回。 【著作】『住育のすすめ』(角川SSC新書)、『危ない「住活」』(竹書房新書)など。 【受賞】宣伝会議賞=金賞・銀賞・銅賞・入賞5点。ユーモア 広告大賞=優秀賞2点・入賞3点。毎日広告デザイン賞=優秀賞・部門賞。 【趣味】映画、読書、 音楽鑑賞、食べ歩き、旅行、温泉。 【PV】宣伝会議賞のとりかた https://www.youtube.com/watch?v=e09_4Q7Ctn8 住育ビデオ https://www.youtube.com/watch?v=p9PgJgJ9qAE